ヤンキー君とメガネちゃん

□あなたがいるならば
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美しい人だと思った。


とても強くて、そしてとても美しい、
と。



あの瞬間の事は鮮明に、強く、つよく。
今も脳裏に焼き付いている。

こんな憧れを抱いたのは、和泉さん以外には初めてだと思う。
あの人と、同じくらい、強烈に。
いや、もしかしたら――


こんなに惹かれるわけを、俺は知らない。けれど確かにこの想いは胸の中心に置かれていて。
いつも思い出すのはあの時のひどく衝撃的な蹴り。まるで蹴られたのは俺だったかのように、頭を思い切り割られた気分。こんな人が、存在するなんて、と寝転がったまま思った。
痛みなんてものが、いや、視覚以外の全てが閉じられたように感じた。それほどに、俺の目はあの人に――

「香川君」
名前を呼ばれるだけで。
こんなに嬉しい俺がいる。

この人だけのために俺の感情はこんなに揺れる。


(ああ、この人がいるなら)

そうだ、あなたがいるならば。

生徒會、なんてものに、入ってみたいと思う。
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