ヤンキー君とメガネちゃん

□馬鹿なの?知ってるけど!
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ふ、と浅い眠りから目が覚めた。
と言ってもここは家のベッドなどでは無く、自分の通っている学校。そして今は授業中。
授業中に思いっきり寝ているのはどうかと思われるだろうが、今日は授業に出てるだけ良い方だ。いつもなら教室にさえ居ないのだから。
机にうつぶせになって寝ていた品川は、少しばかりの首の痛さを感じながら、顔をあげた。
授業時間は残り十五分。
「あぁ、まだこんなにあるのかめんどくせェ」

ふあぁ、と欠伸をしながら頬杖をつく。
机にはノートも教科書も、もちろん筆記用具なんてものも出ていない。
どうするかな、と周りを見渡したら、
「あいつ、真面目に受けてんのな」
真剣に黒板を見つめる花の姿が目に入った。
寝ているとばかり思っていた品川は、意外だ、と言わんばかりの顔でその横顔を見つめた。
「んん……?」
しばらくじっと見ていたのだが、次第に眉間にシワが寄ってくる。
「いやいや、あいつ……」
見てるだけじゃね?微動だにしてねえぞ?
花は黒板を真剣に見ている。
だが……それだけ、だ。手は動かしていないし、それはつまりノートもとっていなければ教科書もめくっていないと言う事だ。
「馬鹿なの?知ってるけど!足立のやつ、馬鹿すぎてついてけてねえの?」
自然とため息が出た。

これじゃあやっぱり今度の試験も赤点なんだろう。
そしてきっと追試が待ってる。

授業残り、あと三分。

真剣に見つめるだけの花の横顔を見ながら、ほんの少しだけ微笑んで。

また、追試に付き合うことになるんだろうか、と考えた。


まあ、それも。
悪くは無いかもしれない。
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