デスノート

□相棒。
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「Mello」

隣から俺の名前を呼んだのは、ゴーグルとボーダーシャツが特徴的な青年。
キラを捕まえる為に呼んだ、ちょっと抜けてるが、一応信頼はしてる相手。
「何だマット」
話しかけられてマットの方を見れば、いつに無く真剣な顔が目に入った。
「やっぱ、やんのか?」
キラを捕まえるには、そうするしか無いと俺が話した内容――あまりに、危険な行動。
それでも。
「俺がやらなきゃ、誰がやる?」
マットに言っているようで、実はきっと、そう、自分に向けて言った言葉だ。
「……分かった」
表情は変えず、静かにそう言ったマットの決意はきっと、固まっているのだろう。
自分で言い出したこと、俺が迷っていてどうする。俺が迷っている事を分かって、マットは俺に問いかけたんだ。見透かされている俺の心。こいつは、いつもはヘラヘラと笑っているくせに、こういう時だけは鋭いから――。

「マット」
「ん?」
「お前は、抜けてもいいんだぞ」
こいつが居ないと実行は難しい。けれど、それならそれでも良いと思っている。俺の無謀な作戦でマットを失うなんて、本当はあってはいけない事だと思うから。
俺が決めた事、きっとまだ悩んでいたから、俺より早く覚悟を決めた。そんな誰より優しい、強い、お前を……俺にとってはたかがじゃ無いけれど、こんな作戦で巻き込むのはきっと駄目だろう。
そんな事を考えてうつむけば、
「何言ってんだよ、俺はとっくにメロに命預けてんだ。誰より信頼して、お前に従うつもりだ」
力強い、声が聞こえた。
「……ぁ、」
「それなのに、お前が俺の命預かるつもり無いってどういう事だ、ちゃんと預かれ馬鹿」
に、と笑ったマットの顔が。
俺の心を今、決めてくれた。
「は、そうだな……。お前の命、預かった。これから絶対離さない、安心しろ」
その言葉と共に、にやりと笑いかける。
同じように、にやりと笑うマットの顔。それはこれからの重い、危険な賭けを感じさせないほどの笑みだ。
「例え死んでもそれで良い。俺は一番信頼できるやつに、自分の意思で、命を預けた」

こいつで、良かった、

「まかせとけ」
「頼むぜ」

相棒。
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