デスノート

□俺もお前が好きなんだ、なんて言ってやらない
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そいつは、俺が呼べばすぐに来た。

「お前……よく来る気になったな」

今まで連絡さえしなかった。愛想をつかされていても、仕方ないと思える。
けれどこいつは平気な顔で、だから?と肩をすくめる。そして「そんなの、俺がメロの手助けしないって程の理由にならないし」と笑った。

むしろ、頼ってくれるのをずっと待ってたから。また会えるのを、願っていたから。嬉しいんだ、と漏らしたマットの言葉に、偽りは無いんだろう。こいつはそういうヤツだと、知っている。
……知っているつもり、なのかもしれないが。それで、良いと思う。それが嘘だったところで、協力してくれる事に変わりはないのだから。
それに、どうやったって確かめるすべは無いんだ。考えるだけ無駄だからそれ以上は考えない。――ほんの少し、信じていたい気持ちもあったように思うけど。


「でもホントびっくりした。メロひどい火傷してたしね。あれには正直どうしていいか分かんなくなったよ」
本当か、と言いたくなるような軽さで、冗談のように言った。
ああ多分きっと、それは俺の為なんだろう。火傷と共によみがえってくるのは、思い出したくも無い、忌々しい記憶。
だからせめて流せる程に軽く話す。
自然に話す事も、きっとアイツは計算してる。その話に触れないように、なんてそんな腫れ物に触るみたいにされるのは、俺は大嫌いだ。俺の何もかも知ってるからこそ。こんな言い方をする。
「あれは、……助かった」
こんな言い方しか俺には出来ないが、それでも精一杯に、これ以上に無いくらい、感謝している。伝わりにくいのは、百も承知だ。
「メロの為だからね。当たり前」
それは相変わらずゲームをしながらで、もしかしたらマットにすれば何気なく放った言葉なのかもしれないけど、俺を喜ばせるには十分なものだった。

ゲームをしていたマットの手が止まる。
ふいに、俺の方を向いて、――目が、合った。
「!」
一瞬動揺したのを、気づかれていないだろうか。
睨み返すようにマットの目を見続けていると、マットはふっと笑って
「安心してね。これからもついてくよ」
そう言った奴の顔が、目の前まで近づく。
「俺は、メロが好きだから」
ゴーグルの奥の、笑った目。
「……!、馬鹿が……」
恥ずかしい奴。
憎まれ口をたたいて、顔を逸らしたけれど。


「あれ?メロ顔赤いじゃん」
「黙れ、殺すぞ」
「うわぁ、嘘!嘘!すいません!!」

構えた銃に、力なんて入らない。
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