デスノート

□溢れるほどイッパイの愛を
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「ライト、おかえり!待ってたよー!」
「あぁ、ミサ。ごめん、疲れてるんだ」
「えぇー」
明るく出迎えたのに、愛するライトはそっけない。
「すぐ、寝るよ」
「そう……おやすみ」
不満はあるけど愛してるから、仕方ない。ライトは素直な子が好きだもんね。
「愛してるよ」
ちゅ、と音がする。おでこにライトのキス。
それからすぐに、するりと横を抜けて、ライトは寝室。

熱の残るおでこに手をあてる。
「ライト」
愛しい人の名。
呟くけれど、目の前には誰も居ない。

知ってるの、知ってる。
本当は、貴方はミサを愛して無い。
だけど、馬鹿なふり。気づいて無いふり。
だってそうするしか無いでしょう?
貴方の傍に、居る為に。

「ライト、ミサは、誰より愛してるよ」
ライトの事が、世界で一番、好き。

貴方に愛されて無いとしても、それでもミサは愛し続けるの。
愛されているふりをしながら、自分だけは、本当に愛し続ける。
貴方の愛が嘘でも、何も言わないよ。

本当は、貴方の愛が欲しいけど。
心からの「ミサ、愛してる」を、願っているけど。
それでも。それは、言わない。
言ったら世界は崩壊する。
だから。ライトの傍に居られるこの場所で、ライトの傍にいるために、何も知らないふりをして。
そうして、ミサを愛して無い貴方に、愛を誓う。

どんな事があったって、ライトを愛し続ける。
愛を知らない、貴方の為に。
からっぽな貴方の為に。

「だから、だから、何時か――」





貴方の愛の箱【ココロ】が、からっぽというならば、そこに注ぎ込んで捧げましょう。



溢れるほどイッパイの愛を。





【貴方の愛の為に】
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