デスノート
□天才の定義
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部屋の灯り、なかなか消えねえな。
まあ、あいつだから。どんだけ勉強やっても二アに勝てるまではまだ足らない、って思ってんだろうな。
「まだ勉強してるの?メロ」
話しかけただけなのに、鋭い目を向けられる。
だけど俺はそれを無視してメロの周りに散らばる本を一冊、手に取った。
「うっわ、これボロボロじゃん。こんなにやったの?」
俺、教科書とかほとんどまっさらですけど。
「お前は勉強、しねえんだな」
メロの言葉に、肩をすくめて、ちょっと苦笑い。
「だって俺、努力嫌いだし」
それに、努力したって二ア(本物)にはかなわないって知ってる。あいつは天才だからさ。
「そこそこ、の努力で三番目、ならいいだろ?」
「お前はそれで満足なんだな」
蔑みとも哀れみともとれる目を俺に一瞬だけ向けたあとは、すぐに自分の目の前に広がる大量の文字に視線を戻した。
あぁ、満足だよ。
そもそも俺は、一番になることに執着なんて無いんだからさ。
なんだってメロが、こんなに勉強したがるのか分からない。楽しい事してる方が断然いいじゃん。ゲームとか。
文字に目を走らせるメロは、まるで俺の存在を忘れたかのように一度も横なんて向かなかった。
まだ、頑張るんだね。
頑張って頑張って頑張って、頑張って。
そうして、――そうしたら、二アに追いつけると、思ってるの?あいつに?
「メロも天才だね」
こんなに努力できるんだから。天才だよ、やっぱり。
でも二アにはかなわないよ、多分。
と、それはさすがに言わなかった。
「すごいね、メロは」
もう一度、少しだけ俺の方を見たメロは、やっぱりさっきの目をしていた。