犬夜叉

□生と死のアイダ ―犬夜叉―
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「犬夜叉」


…………桔梗?

おれに、微笑みかけてる、
 お前は誰だ――?




「犬夜叉、犬夜叉っ!」
「!」
目を開いたその前にあったのは、かごめの顔。
「かごめ……」
「何ぼーっとしてんのよ!」
「あぁ、わりぃ……」
「犬夜叉?」
目の前にあった顔が、かごめで、安心して、そして不安になった。
わけわかんねえ、なんだそれ。自分で自分の感情が分からない。

おれ、は

――目の前に、誰がいる事を期待してた?


「……、先行ってるね、早く来なさいよ」
「あ、あぁ」
おれはかごめに曖昧に返事をして、その場に座ったまま何をするわけでもなく。
ただ、ぼーっとしたままでいると、昔を思い出した。


――――『犬夜叉』


いつか、あんなに優しくおれを呼んだ。
「桔梗」
好きだった。好き、だ。
だけど、

お前はもういない。



おれは桔梗となら、一緒に死んでも良かったんだ。


だけど、だけど。

今は。
かごめが、いる。
かごめが、好きだ。
おれを呼ぶその声に、あたたかさを感じる、かごめがいたから、今の俺もいる。




おれはかごめと
生きていく。





もういない、桔梗。
ゆっくり眠ってくれ、俺のなかで。





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