ネウロ

□ストロベリーアイスよりも
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なんか……なんか、ね?
さっきから、俺の右手のアイスにスゴイ視線を感じるんですけど……。
「か、桂木?」
「はッ、はいっ!?」
よっぽど俺の手元のアイスに集中してたのか、話しかけるとビックリした声が返ってきた。
「え、もしかして、コレ欲しい?」
「はぃっ……じゃないくて、い、いいえ!ソレは匪口さんのだから……ッだいじょう、ぶ、ですっ!!」
無理しすぎですよ、桂木さんっ!?
ヨダレたれそうな顔で言ったって説得力皆無。
「ははっ、桂木可愛い。俺そんな食べないから味見出来ただけで十分だし、あげるよ?」
「え、いいのっ!?」
すっごい笑顔。こんな顔されたら、ね。そりゃあ、あげないわけにはいかないでしょ。
「いいよ」
「うわぁあ、ありがとうございますッ、じゃあ頂きますっ!!」
満面の笑みで手を伸ばす桂木。その顔を見ながら、ふと思いついて、アイスを手前に引いた。
「あ、でもその代わり条件付き」
「え?」
「ねえ、俺が食べさせてあげるから口開けて」
「え」
あれ、桂木動かなくなっちゃった。石化してる?
「おーい?」
「えっ、ええええぇぇ!???ひひひひ匪口さ、ええ!?いやいやいや!?そ、そんな……!」
一瞬後、イキナリ火がついたように叫ぶ桂木。うわ、顔すっごい赤い。真っ赤じゃん。……何か嬉しくなった。
「だ、大丈夫っ!!!!じ、っじじ自分で食べ、」
「俺が食べさせたい」
かぶせるように言葉を発して。
「え?匪口さ、……んっ」
そのまま桂木の唇に自分のを重ねた。
口の中の少し溶けたアイスを、桂木の口の中にそっと移す。
「おいしい?桂木」
俺が聞いても、桂木は真っ赤な顔のまま口を押さえているだけ。ま、可愛いから良いけど。
しばらくして落ち着いたのか、桂木がゆっくりと発した言葉は。
「お、……おいしかった、です…………」
という、か細い声で発されたものだった。

なんて可愛い答え。
うーん、そろそろアイス溶けそうだけど、まあ良いよね。
俺は桂木を抱き寄せて、もう一度キスをした。
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