ネウロ

□誕生日おめでとうございます
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「匪口さぁん!!」
桂木のでっかい声が、警視庁内に響いた。
「わ、どしたの?」
びっくりして、駆け寄ってくる愛しい姿を見つめる。
よっぽどの事があるのだろうか、桂木は必死の表情だった。何かしたかなぁ、と思い返すが、今のところ何にも思いつかない。

「ひ、匪口さん!」
俺の正面に桂木が立って、見たらいつもより緊張してるような顔。その口から俺の名前が呼ばれたから、どしたの?、と聞いた。
「これから暇?」
「え、うん。今仕事終わったトコだけど」
丁度、終わって帰り支度を始めたところ。
桂木は、俺の言葉を聞いて、ほっと一安心していた。それを見ていた俺は、今だ桂木の行動の意味が分からなくて、頭の周りに「?」が浮かんでいる状態だった。
もちろん桂木が俺に会いに来てくれた、って事実は、とても嬉しい事なのだけど。

「まあいーや」
帰りの支度を終えて、立ち上がる。
桂木の方に向くと、俺は微笑んで
「俺のために待っててくれたんだよね?さんきゅ。すげー嬉しい」
ぽんぽん、と頭を撫でる。
「っ、はい」
俺の手が頭を撫でる下で、顔が真っ赤になった桂木から、かすれるくらい小さな返事が聞こえた。
可愛いな、もう。
そんな桂木を見ながら、抱きしめたい衝動にかられたけれど、さすがにここでやったらマズイ。笛吹さんいるし、笹塚さんいるし、ていうか警視庁の中だし。
「とりあえず、帰ろ?」
言って歩き出したら、桂木も俺の横に並んで歩き始める。
「あ、そーだ用事、あるんだっけ。ココじゃなくても大丈夫な用事?」
思い出したように桂木に尋ねると、大丈夫です、と返事が返ってきた。
「というか、出来れば匪口さんの家行きたいんですけど……」
と桂木の目が俺をちら、と見た。
「え、いいけど。何?」
「……内緒!」
そのときの、思いっきり笑った桂木の顔が、可愛くてしょうがなかった。
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