お題一

□「桂木ヤコで5つのお題」
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2.一般女子高生だった少女が



女子高生探偵。
そう世間から呼ばれるようになったのは、何時からだったろう。気がつけば皆に知られていて、そう呼ばれていて。

あれ?

気づいた時に、私は人と違うんじゃないか、と思ってしまった。

新聞に載る、テレビに映る、――噂がとぶ。
女子高生に“探偵”が付いた、それだけで。
自分、自分の周り、色々なものがかわってしまったように感じる。思い込みもあるのかもしれないが、確かに環境は変化していった。
街でも声をかけられる。
「女子高生探偵の人ですよね?やっぱ違うな〜」
違う、って何がだろう。私は、どこか人と違うんだろうか。

一般女子高生だった少女が、
探偵になるに払う代償は、
思っていたより少しだけ多くて。
気持ちに、小さなヒビが。少しづつ。確かに。

その気持ちは、渦巻いて、ゆっくり。
だんだん。
大きく。
育っていく――。

ナ ニ ガ チ ガ ウ ?

「ヤコ」
ぼぅっとしていた私の頭上にアップのネウロの顔。
「・・・ネウロ?」
こいつに聞いても無駄かもしれないなあ、と思いながら尋ねる。
「私って人と違うのかなあ」
「・・・ふむ、貴様の言わんとしている事はよく分からんが」
一度考えるように仕草をみせると
「我が輩には他の人間どもと同じ、どれ・・・重要な道具にしか見えんが」
ニヤァ、と良い笑顔で言葉を吐き出した。
「今奴隷って言おうとしたでしょ?!そして言い直してもヒドイ事にかわりが無いんだけど!道具って言っちゃってるじゃん!!」
言いなおした意味がねえ!と突っ込んでから、
ふと、気づく。

「・・・」
さっきまでの気持ちは、どこにいったんだろうと言うくらい、軽く。
見上げると
「謎の気配だ、行くぞ。ヤコ」
そこにはもうネウロの顔は無く、そう言ったやつの、背中だけが見えた。





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