お題一

□片想いをする男
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「でね、それでね――、」
俺の横で、探偵が嬉しそうにあいつの話をしていた。

「ふーん」
なんて言いつつ、俺の心の中は
(知らねーーよ!)
と、まったくもって話の中身に関心は無い。
正直どうでも言い。というよりむしろ聞けば聞くほどイライラする。
つか、なんで俺に話すんだよ。

「そんなに好きなら、言やぁいいだろうが」
「そ、そんな……私なんか相手にして貰えないよ!!」
かぁーっ、と顔を一瞬にして真っ赤にさせた探偵は、千切れんばかりにぶんぶんと頭を横に振った。
(真っ赤……)
ああ、もう、俺も本当に馬鹿だ。
こんなにも探偵はアイツの事が好きだ、って知っている筈なのに、なんで俺はこんな感情抱えたままにしているのか。
――何時か、を期待しているのか?そんなもの、きっと来ないのに。


「つーか、何で俺に言うんだよ、お前」
気になっていた事を、ふいに口に出す。
「え、だって、他に誰に話すの?例えばネウロに話せると思う?」
「そうだな、すまん」
「それにね、吾代さんはちゃんと聞いてくれるから」
そう言うと、はにかんだ笑いを、俺に向ける。
「そーかよ」
(ちゃんと聞いて、なんかいねぇよ。本当はどうでも良いと思ってる。本当は聞きたくなんか無い。それでも、)
お前の傍にいれるなら。





* * *
吾代さんの片想いが萌えるんです。

110328
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