お題一
□片想いをする男
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お前が見てるのは、俺じゃない――。
「お前じゃ相手にしてもらえねえよ」
探偵からしたら、いきなりだったと思う。そいつの話が出てきたから、何だか無性にイライラして。横目で見ながら、淡々と言った。
「なっ、吾代さんにそんな事言われる筋合いないよ……!」
直後、かぁっ、と顔が赤くなって、探偵は立ち上がる。
「なんでそんな事言うの」
くるり、と踵をかえしてその場から立ち去ろうと歩きだしたその手を、掴んだ。
予想していなかったのか、がくん、と少し体が揺れた。
「なっ……放して!」
「嫌だ」
「放してってば!!」
どん、と探偵の手が俺の胸を押した。
もちろん、俺は男で、探偵は弱い、女だ。俺の体はびくともしなかったけれど、掴んでいた手の力を抜いて、するりと細い腕が抜けていくのを微塵も動かずに見つめていた。
パタパタと遠のく足音だけが耳についた――。
「…………いてぇ」
探偵の去ったその後、ちいさくちいさく、呟いた。
あいつは、お前なんか見てないだろ。
だから、俺を見ろ。
* * *
あいつ、が誰なのかは想像にお任せします。
とりあえず、やっぱり弥←吾は良いですね!