お題一

□ひぐち結也
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「ゆうや君、悲しいね、」
しらない大人の声がした。


かなしい、
「なんで?」

眉をひそめて、大人は言う。
「お父さんも、お母さんも、死んでしまったでしょう」
ああ、そんなこと。
違うよ、この世界から居なくなった二人は、確かに俺の目には見えないけれど。


「死んで無いよ」
俺の言葉を聞いたその人は、何故だか気味の悪いものを見るような目をしていた。
だけど、ねえ、だって。
居なくなる前と何も変わらない。
帰ったら画面の前に座る。電源を入れれば、そこに居る。

画面の外にいた抜け殻は、
みえない。
だけど、



(偶像崇拝のあした)


これまでとなにもかわらないならば、それはきっとこのひとたちがいきているということでしょう。





* * *
110221
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