忍たま

□大切なひと
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――何でこうなった?
いや、今はそんな事、どうでも良い。
落ちつけ。冷静になれ。
助ける方法だけを、考えなければ。

自分に言い聞かせながら、三郎は荒くなった呼吸を整える。



事の始まりは、三人での任務。
敵の視察をしてこい、というものだった。
完璧なはずだった。何も起こらず帰れると思った。
運が、悪かったのだ。あんなところに、見張りがいるなんて。

捕らえられたのは、二人。
一人敵の手から逃れた三郎は、近くに隠れて敵の様子を伺っていた。
「雷蔵、勘右衛門……っ!」
もし、ひとりを助ける為に行動すれば、三郎がひとり倒している間、敵は三郎で無く、自分が捕らえている方を攻撃するだろう。
例えばつまり、勘右衛門を助ければ、雷蔵は間違いなく傷つけられる。
逆も、同じだ。
「くそ、」
頭が回らない。どうしよう、とその言葉ばかりが頭を占めていて、何も浮かんでこない。
苛立ち、がりがりと頭をかく。
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