忍たま現代

□めにわるい
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そいつと初めて出会ったのは、委員会での集まりだった。

「編入生の斉藤タカ丸だ、ここの委員会に所属になった」
顧問の土井先生から紹介された。
――金髪。一番に目についた、髪の色。
「俺、斉藤タカ丸って言います。あ、えっと四年生に編入してきたんだけど、年は先輩よりひとつ上だよ」
いきなり、ふにゃんと抜けた挨拶。
無意識に眉間にシワがよった気がする。
いきなりこんなやつ連れてこられても。今まで関わることのなかったような生き物で、どう接していいものか。反応に困る。
俺がそんな風に対応に困っている間、そいつはへらへらだらしない笑顔をして、俺の少し上で笑っていた。
背が俺よりちょっと高いのが、悔しいような気がした。
一応年上なわけだから、気にしなくてもいいんだろう。でも、何故だかコイツより高くなりたいと、漠然と思った。

窓から入ってきた光が、新しい後輩の髪をキラキラ反射してる。
てか金髪、って。なんだよ。
眩しいんだよ。
馬鹿じゃないのか。

そんな風に思いながら。そいつの金色の髪を見つめ続けていることに、俺はその時気づいていなかった。



「――そういうことで、色々教えてやってくれ」
土井先生の言葉で、はっと現実に戻ってきたみたいに今の状況を思い出す。
「え、ぁ……はい、」
ぼんやりしながら返事をした。
俺が無言の間、ただニコニコとしていただけのそいつ。
今はもう笑っていない。それでも、元々なのだろうか、その少し特徴的な目と唇から受けるのは、やわらかい印象だ。
固い、怖い、と言われる俺の顔とずいぶん違うと思う。
しばらくするとじっと見つめる俺の視線に気がついたのか、目があった瞬間に、そいつから手のひらを差し出された。
それから。
よろしくね、先輩。と、ギラギラ目に痛い髪をした後輩が、また笑った。
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