ヤンキー君とメガネちゃん

□良い天気だね
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メガネ、壊したのは絶対俺なのに。悪かったなぁ、と思いつつも、謝る事も出来なかった。足立さんが頑なに、俺のせいじゃない、と言ってくれたから。

「川崎君?」
「あ、足立さん・・・」
謝ろうと話を始めたのは良いけど、足立さんがあそこまで俺のために、必死に隠してくれたんだからなんだか謝るのも違う気がするし、と思うと、何も話す事がないと気づく。どうしようもなくなった。

「え、と良い天気だね」
何言ってんの、俺。
「そうですね、私雨好きです。良いですよね」
ああしかも雨だった!でも普通に変な風に思われる事もなく答えが返ってきた!
「あ・・・のさ、品川君は?」
「?」
「いっつも一緒にいる、から、・・・今日はいないのかな、ぁって」
焦りながら、なんとか話をつなげようともがく。
「品川君は寝てますよ?」
足立さんが指差す方向には、机につっぷして寝る品川君の姿。
う、うわぁあ、普通に居た!焦りすぎて見逃したの?!俺。

色々恥ずかしすぎて、言葉が出なくなった。
どうしようとおろおろするばかりの俺に、足立さんは急かす事も無く、ただ笑って待っていてくれた。なんでこんなに、優しいんだろう。

俺なんか、全然駄目じゃないか。
謝りたいとか、結局何も言えないとか。

自分の事しか考えてないんだ、って今。分かってしまった。

「ごめん、何でもないよ」
恥ずかしくなって、(それこそ何も行動を起こしていないのに、恥ずかしく思うも何もない気はするんだけど)曖昧な笑みを浮かべて、俺はその場を去った。
「はあ、そうですか?」
と足立さんは不思議そうな顔をしていた。・・・そりゃそうだよな。

自分の不甲斐なさに、イラつく。
「くそ、っ」
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