ヤンキー君とメガネちゃん
□良い天気だね
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あれから。
俺は足立さんに話しかける事も出来ずに、時間は過ぎていくばっかりだった。
そんな時。
俺の親友のマコトが、ひきこもってしまって、どうしようも無くなった俺の頭に浮かんだのは――やっぱり、足立さんだった。
なんて、都合良いんだろう、困ったときだけ助けて貰うなんて。でも、他に頼りようも無くて、結局足が向いたのは、生徒会室。
「川崎君」
足立さんのかわる事の無い笑顔を見て、少し安心してしまった俺は、ズルイと思った。
そして足立さんはやっぱりかわっていなくて、得にもならない俺のお願いを、きいてくれると言った。
皆が渋る中、ひとりだけ。まかせてください、ときっぱり。
やっぱり生徒会は、ちゃんと俺の頼みをきいて、悩みを無くしてくれた。
「川崎君、大丈夫ですか?」
あとはマコトとふたり、ちゃんと話し合うと決めて、俺が帰ろうとした時に、足立さんが俺にたずねてきた。
「うん、大丈夫」
ここまでして貰ったんだから、これ以上頼ったら、本当にどうしようも無い。
「ありがとう、足立さん」
それとね、と前に口に出来なかった言葉。今なら言える気がして、口を開いた。
「あの時も、ありがとう」
そう言って、足立さんの眼鏡をさすと、
「?」
少しの間首を捻って。
しばらくしたら、気づいたような顔をしたけど、
「・・・!っな、なんの事ですか?」
バレバレな嘘に、微笑んでしまった。
最後まで、俺のせいじゃない、って主張するつもりなんだね。
「足立さんは優しいね」
「本当にありがとう」
笑うと、足立さんはハテナをひとつ浮かべたような、それでも綺麗な笑みを、返してくれた。
あぁ、今日は本当に、とてもいい天気だ。
太陽が、俺を照らしてる。