ヤンキー君とメガネちゃん

□やっぱりムカつくガキだ
1ページ/5ページ



「品川くん!一緒に遊園地、行ってくれませんか!?」

「はっ?」
両手の拳をぎゅ、と握って困ったような顔をして品川を見てくる花。
いやいやイキナリすぎるだろ。は?何言ってんのコイツ。
とは思いつつも顔は真っ赤なわけで。
「おま、なんで俺がそんなめんどくせー事・・・!」
「そんな!お願いします。品川くんにしか頼めなくてっ」
そ、そんなに俺と行きてーの?いつもそんな風に素直に言えば可愛いのによぉー。
花の発言に久しぶりに自惚れている品川。隠そうとしてはいるのだろうが顔がものすごく嬉しそうだ。
「ま、まぁそんなにいうなら仕方ねぇな。行ってやるよ」
「本当ですか!?ありがとうございますっ♪それじゃあ、日曜日に!」
嬉しそうに笑っている花を見て、
やっぱこいつ可愛い・・・?
なんて品川は思っていた。の、だが。

約束の、日曜日。
「お前・・・足立ィ聞いてないぞ!」
「え?言ってませんでしたっけ?」
「ひとっことも言ってねぇよ!!」
目線を花の腰あたりまでやって、
「ガキが来るなんて聞いてねぇぞ!」
花が連れてきたと思われる子供を睨みつけた。
「親戚の子なんですよ。お世話頼まれちゃって。でも私、どうやって遊んだらいいのか分からなかったので・・・・品川くんなら分かるかなぁって」
満面の笑みで言われても!勘弁してくれ足立、俺はガキが嫌いだ。
しかもそのガキ、目つき悪すぎるだろ!何睨んでんの!?コイツッ。
「さぁ、じゃあ遊びましょうか、葵くんっ」
あ?そのガキ、あおい、っつーの?
ハッ、そんなガキに凝った名前付けやがって。もったいねー。
「ふん・・・」
鼻で小さく笑って、その子供を見やると、花に手をつないだまま、馬鹿にしたような目つきで品川を見てきた。
「なっ・・・」
てめえこのガキ・・・!
「花ねえちゃん。おれ、あれいきたいっ」
品川が睨みつけているのを軽やかに無視し、葵が指差した先は、お化け屋敷。
「あれ、ですか?良いですよ。あ、品川君は良いですか?」
「んっ?あ、おぅ・・・」
「じゃあ行きましょう」
「て、ぇ何処行くって?」
ガキを睨みつけていて、聞いていなかった。適当に返事しちまったけど、何処行くんだコイツラ。
そう思って二人を見たら、葵がまた品川の方を見ている事に気づく。
「――――」
何か言っている。耳をすまして聞けば――
「きいとけよばか。おばけやしきいくんだよ」
このがきぃいい!!
ぶちぶちと血管のキレる音が聞こえるような気がする。今日一日我慢できるとは思えない。

「ナメんなよ?ガキが・・・!」
花に聞こえないようにこっそりと葵の耳元でつぶやいたら、やっぱり睨み返してきて、
「花ねえちゃんはてめぇなんかにやんねえぞ。おれがもらうんだからなっ!」
葵もこっそりと、つぶやいた。
「なッ・・・おま、誰があいつの話っ」
品川の顔が一気に赤く染まって、しどろもどろに否定をはじめた。
「おまえ、すきなんだろ?でも、おまえなんか、あいてにされねーよ。あきらめろ」
相変わらずムカつくガキだ・・・!!
「お前みてえなガキが相手にされるか!あいつは俺に惚れてんのっ」
むきになって対抗する品川。なんとも大人げ無い。
「あの?」
「「!」」
「どうかしたんですか?」
花がふたりを覗き込んできた。焦る二人。
「な、なんでもないよ花ねえちゃんっ」
「お、ぉう、男同士で話を、なっ」
「そうですか。仲良くなったんですね!良かったですっ」
にこっと笑って疑う様子も無い花。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ