ヤンキー君とメガネちゃん

□やっぱりムカつくガキだ
2ページ/5ページ


「じゃあ、入りましょうか!」
お化け屋敷の前、元気よく言って、おどろおどろしい、いかにもなその建物を指差すと、迷い無く葵の手を引いて入っていく。
ほら、品川くんも、と手招き。

「結構・・・本格的だな・・・」
入り口だけでも、薄暗くてひんやりとした空気がしている。
「びびってんのか?」
葵の、ひとこと。
それに大人気なく反応する品川。
「ンなわけねーーだろうが。お前こそ自分で行きたいつってビビってんじゃねーだろうな?」
「おれは花ねーちゃんまもるんだからな!びびってるわけねーよっ」
「あ、そお」
はっ、ガキがえらそーに。
どーせ、途中で怖くなって俺らの後ろに隠れんだろ。俺はこんな子供だまし、怖くもなんともねえけどな!


「う、わぁあっっ」
お化け屋敷に入って十数分。品川の叫び声が響く。
「やっぱびびってんじゃねーかっ」
あぁ?どこがだよ、とガチガチ歯を鳴らしながら品川が横を見れば、葵もがくがくと震えていた。
「はは、てめーこそやっぱ怖いんじゃねーか。・・・俺は怖くねえけどな!!」
「うそつくなよ!お、おれはこわくねえよ」
「嘘はてめえだろっ」

「ふたりともー、早く行きましょうよー」
花の声。
見れば、花はもう大分前に進んでいた。
「っち、てめーのせいで遅れてんじゃねえか」
相変わらず大人気ない品川が葵を小突くと、
「おまえのせーだよ」
頭を抑えながら、じろ、とひるむ事無く葵は品川を睨んだ。
イライラしながら歩き出す二人。

「おい、お前怖えからって俺の服掴んでんじゃねーぞ」
「は?そんなことしてねーよ。おまえこそつかんでるだろ」
「何言ってんだよ。誰がンな事すっか、両手あんだろーが」
「おれもりょうてあいてんだよ」
「「・・・」」
しーーん、としたお化け屋敷の中。
温度が、更に下がった気がした。

ゆっくりと、後ろを振り向く。
「「!?」」

「「ぎゃあああぁああっ」」
前言撤回。
何これすっげえ怖えんだけど。何これ、何なの!!!!
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ