ヤンキー君とメガネちゃん

□親友の川崎くん
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ひきこもってしまっていた、マコト。
その原因だったのは、親友の川崎だった。



あれから話していなかった二人は、今日、やっと顔を合わせた。
沈黙の中、先に話し出したのはマコトだった。
「川崎」
「……っごめん、マコト、俺、やっぱり」
川崎にはまだ少しだけ悪いと思う気持ちがあるのか、マコトの呼びかけに対して反射的に謝罪の言葉が飛び出す。それから言葉を濁しながら紡ぐのを、
「私、川崎の事好きじゃないよ」
マコトはきっぱりと遮った。
「えっ!?」
驚く川崎の耳に、再びマコトの声。
「小さい頃からずうっと一緒に居て、もちろん好き、なんだけど。そういう好きじゃないんだ、多分」
「……マコト」
きっと寂しかっただけなんだ、ごめんな川崎、と照れくさそうに笑う。

「気づかせてくれたのは、……千葉君、だよ」
「そっか……」
川崎は、フッと肩の力が抜けたように笑って、頑張れよ、と続けた。
「はっ……が、頑張るって何をっ!」
瞬間に顔を赤くするマコトに、
「素直じゃねえな」
と川崎はまた、笑う。

それから。
「川崎には、迷惑かけたと思ってる。でも、これからも仲良くしたいと私は思うよ」
眉を寄せ、少し不安そうにマコトは言った。
「俺も、だ」
川崎がそう答えれば、すぐにマコトの顔から不安は消えた。代わりに、拳がどすっ、と川崎の腹に入る。
「ってぇ!何すんだよ」
「うるさい、照れ隠しだよ」
ずいぶん可愛い照れ隠しだな、おい。川崎は小言を言いながら、殴られた腹をかかえた。

それでも、戻ったもとの関係が、嬉しくて。
「よし、じゃあ今日何かおごってやるよ」
「お、やさしーねッ川崎!」
「いこーぜ」
カバンを持って、先に歩き出す川崎に追いついて、
「これからもよろしくなっ!“親友の川崎くん”?」
にかっ、とマコトが笑えば、
「当たり前だろ」
川崎もとびきりの笑顔で笑った。
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