ヤンキー君とメガネちゃん
□遠くに行かないで
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姉弟だったら、離れることなんて無いと思ってた。
ずっと、大好きな姉ちゃんと、居れると思ってた。
誰にも邪魔されないで、どんな事があっても断ち切れない、姉弟の絆。
そんなものを、盲目的に信じてた。誰より大好きな姉ちゃんと離れるなんて事、想像さえしたくなかった。
「それなのに、」
姉ちゃんは俺から離れていって、
他の奴と楽しそうに笑って、
俺はこんなにも好きなのに、
俺をおいていくのは、何で?
あいつを、選ぶのは何で?
姉ちゃん。
姉ちゃん。
姉ちゃん。
貴方の一番で居たいのに。
俺はもう、一番でいられなくなった?
優しくて優しくて、こんな俺に姉ちゃんはずっと微笑んでくれたのに。今、その微笑みは、他の奴らに向けられてる。
あいつに、向けられてる。
「なんで、」
俺じゃ駄目なの?
姉弟だから?
家族だから?
違うよ、だから、愛してくれるんでしょう。姉弟だから、家族だから。
誰より、愛してくれてただろう?
なのに、なんで今は。
「あいつのこと、ばっかり」
俺を見てよ。
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ」
俺から、姉ちゃんを盗るなよ。
――――お前なんかに、渡すもんか。
離れたくないんだ、誰よりも近くに居たい。
姉ちゃん、遠くに行かないで。