ヤンキー君とメガネちゃん

□内緒
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僕が外に出る、きっかけをくれたのは、足立さんだった。

僕を一番気にしてくれたのも、足立さんだった。


僕を連れ出してくれたのは、足立さんと品川君だった。


だから僕の一番は、足立さんと品川君だったんだ。

それでも、足立さんの隣は品川君で、品川君のとなりは、足立さんで。
僕はその、一歩後ろ。

二人の間には入り込めないこと、分かっていた。二人は進んで僕を受け入れてくれたけれど、二人と僕には、やっぱり少し、違うものがあった。
それが寂しいと感じる事もあったけど、それは僕が、二人の「友達」だからだと、思っていたんだ。

だけど、何時か、幸せそうに話す二人を。
見かけてしまったときに、痛む胸に気が付いて、僕の目は。
その目は、足立さんを捉えていた。

「あれ?」
何で僕は苦しいんだろう。
何で僕は足立さんを見つめているんだろう。
足立さんを見つめていると、顔が熱くなって、微笑みかけてもらいたくなって、
それから、少し、胸が痛い。
それが恋だと、その時に気が付いた。

「はは、こんなのって、無いよ」
気が付いた瞬間から、かないっこないって分かりきっているんだから。
だって、足立さんの目は、品川君しか見ていない。
品川君だって、足立さんより大切に思ってるものなんか、無いって顔。

「早く告白しなよ、」
品川君の馬鹿。
そうしたら、諦めだって、つくのに。

その日、僕は初恋の痛みを知った。



「・・・葉くん!千葉君っ!!」
「えっ?あ、何マコトさん」
「何、ぼーっとしてんの!女の子と出かけてる最中にぼーっとしてるとかありえないよ?」
「ちょっと、昔のこと、思い出してて」
「ふうん?」
むすーっとした顔の、マコトさんに、知らずに笑みがこぼれる。
「何笑ってんのっ」
「い、いや、ごめんね。マコトさん、可愛くて」
「・・・!」
それから、真っ赤な顔になったマコトさんを見つめながら、幸せだなあ、と思った。


この話は、マコトさんには、内緒。
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