ヤンキー君とメガネちゃん

□誰と過ごしたい?
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その沈黙を破り、花が口にした言葉は。
「えーっと、私、和泉くんと過ごしますっ!」

「!!?」
全員が、驚きのあまり、目を見開いた。

「和泉ィ?」
「本気ですか!?花さん!」
「何故ですか」
「意味わかんない!」
「どういう事だよ!?」
「納得いきません!!」
「せっ、説明してくれない?」
「姉ちゃんっ!」

口々に不満を漏らすメンバーに、花はにこりと笑う。
「だって、5月5日は、和泉君のお誕生日じゃありませんか。祝ってあげたいので!」
そう言えば、と思い出したように全員が、なるほど、と納得の表情を浮かべる。

「まあ・・・完全に、じゃないが」
「それなら・・・」
「誕生日だ、とかいうなら、しょうがねえ」
「だからって調子にのんじゃねえぞ!!和泉!」
不満ではあるが、しぶしぶ納得した面々から、複雑な言葉を貰った和泉は、
「うるせえな!分かってるよ!」
と、その言葉を振り払うように叫んだ。
(それでも、足立が俺を選んでくれた事は、嬉しいから。素直に喜んでおこう)

「あ、和泉君」
「なっなんだ?足立」
手招きで和泉を呼んだ花は、こっそりと、和泉にだけ聞こえるような声で、囁く。
「でも少しだけ、贔屓しちゃいました。ゴールデンウィーク、好きなひとと、過ごしたかったので」
そう言って、「誕生日を理由にしたのはズルイですかね」、と困った様に笑った花に、和泉は何も返事が出来ずに、固まった。

(やられた・・・!可愛すぎる)

和泉はその後、鼻血をおさえるのに必死だった、とか。
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