ヤンキー君とメガネちゃん

□一番は姉ちゃん
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大地と比べる事がおかしい。


葉はそう言った。
それから。
例えアンタが死にそうな時だって、姉ちゃんが「葉君」と呼んだなら、
いいや、姉ちゃんが呼んでると、誰かから聞いただけだとしても、
おれはきっと行くよ。

なんて真顔で俺に告げた。その目は本気だ。
恋人より姉かよ、と思ったけどこいつのシスコンは度を越してるのはとっくに気が付いているし、分かって好きになったのだから仕方ない。
だから俺はため息を吐くだけ。

例えば俺が事故や病気になって、何時死ぬか分からない。そんな状況だったとしても、本当にコイツは、足立が呼んだらきっと俺の傍にいない。
足立は葉にとって全てで、そして絶対なのだから。
とは言え俺が死にそうになったなら、足立は多分俺の傍に来てくれる気がするから、多分葉も最期は傍にいてくれるのでは無いかと思う。もちろん足立を心配してが九割であろうが。……いや、それはちょっと少なすぎたか。それでも、その時の葉の感情の、千分の一ほどは俺のために、だと信じたい。
――まあ、もしもの話をしたところで、どうしようと言うのか。


「俺の全ては姉ちゃんのもので、俺の一番は姉ちゃんだ」
「っ、」
宣言はあまりにもな内容だったけれど、それを言う葉の顔のカッコイイこと。
どんな時より、姉に対しての決意を述べる時のコイツの顔が、一番凛々しい、と思う。
あまりのかっこよさに、ついドキンとしてしまった程だ。ああ、コイツもコイツだが、俺も重傷。

「知ってるよ、とっくに」
そう言ってやれば、葉はそうだよな、と笑った。


それでも、
「安心しろよ。姉ちゃん以外だったら、大地のこと一番に考えてる」
力強い口調でそんなことを言うから、俺はこいつに惚れ倒しているのだ。
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