ヤンキー君とメガネちゃん

□アタシの一番大切な人
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「品川、花さんが好きなんだろ?」
「は、ハァア!?」

品川からすればきっと突然で、いきなりそんな事を言われて戸惑ったんだろう。大きな声をあげて、ちょっとばかり頬を染めていた。
アタシからすれば突然じゃないけど。
知ってたよ、ずっと。お前が花さんを好きなこと。
だからいつか、きっと言おうと思っていたことがあるんだ。
それが今だっただけのこと。

あわあわ何かを言いながら、身振り手振りをつけて誤魔化そうとする品川。
「今更だろ。知ってるよ」
みんな、知ってる。

ぴた、と固まった品川が、照れたときにするクセなのだろう唇を尖らせて呟いた。
「ま、その、そうなんだが……」
ぽつり、ぽつり。小さな声が耳に届く。
「なあ、品川」
「なンだよ」
「ならさ、お前は花さんを幸せにしなくちゃなんねえよ」
え、と声には出さなかったものの、驚いたのか唇をその形に開け、品川がアタシを見ていた。
でも、そんなことはお構いなしに、アタシはアタシの伝えたい言葉を伝える。
「花さん泣かしたら、殺すからな」
ゆっくり瞬きを繰り返す、その間に見える品川の驚いた目の色。
だんだんと、その色は何かの決意を秘めたようなものに変わっていく。
「ああ」
と低く、ゆっくり品川は応えた。


品川。

花さんは、アタシの一番大切な人。
傷つけたら許さない。
たとえ、お前だろうと。世界の誰だろうと。花さんを不幸にするヤツは許さない。
花さんを悲しませていいやつなんか、居るはずが無い。


花さん、幸せになってください。

「品川、幸せにしろよ」



花さんは、アタシの一番大切な人。
幸せにならなくちゃ、いけない人。

(貴女がアタシの世界の中心だから)
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