ヤンキー君とメガネちゃん

□なんだこのムカつくガキは
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「ほう、それで親戚の子を預かっている、というわけか」
「そうなんです!」
花の話を聞きながら、廊下を歩く。
葵は花に手を繋がれ、時折和泉を勝ち誇ったような顔で見てきたが、花のいる手前和泉もその目を盗んで睨み返すくらいしかできずにいた。

「今日はおばあちゃんも居ないので、仕方なく私が学校へ一緒に連れてきて・・・」
「なるほど、それでこっそりと生徒会室で大人しくしてろと行ったのが、脱走した、と言うわけか。足立花の言いつけも守らず」
「っちが、おれは、トイレいってて、まよっただけで、」
「そうですよね、私がトイレの場所ちゃんと言ってなかったから・・・ごめんなさい、葵くん」
「花ねえちゃんはわるくないよ!」
即座に花の非を否定する葵。
「おまえ、足立花が好き過ぎるだろう」
ぼそっと呟いた言葉は、どうやら葵にだけは聞こえていたらしい。
ふ、と馬鹿にしたような笑みをたたえ、葵も和泉にだけ聞こえるような声で、つぶやく。
「おまえもだけどな。でも、まけるきしねえから」
「なっ、ななな、何を、お前・・・っ」
「?、どうかしましたか和泉くん」
「いいいいや、なんでもない!気にするな!」
どもりまくり、あきらかに不審な和泉だが、そこは花だ。気にするな、と言われれば、もう和泉の変化には気を留めることをしない。

「ふん、しながわも、おまえもたいしたことないな」
「ん、品川とも会ったことがあるのか」
気になったことを口に出すと、それに答えたのは花。
「はい、以前三人で遊園地に行ったんです!」
「ゆ、遊園地、だと・・・!」
品川め、何時の間に。
「おまえ、花ねえちゃんとでかけたことないのか?・・・かわいそうだな」
「!??」
葵の馬鹿にしたような、憐れむような声。
和泉の身体が、びきり、と固まる。

「な、なにを・・・オレはっ、」
言葉に詰まってしまった和泉を見て、フン、と鼻で笑う葵。

和泉は思った。
なんだこのムカつくガキは!!
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