ヤンキー君とメガネちゃん

□足立に似てンな
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「…………」
自分のベッドを見下ろす。凝視。

そこでは、すやすやと気持ちよさそうに葉が寝ていた。
(俺のベッドだっつーのに!)
「毎回毎回ココで寝やがって……」
ため息をついてから、起きろ、とそいつの頭を小突く。
葉がもぞもぞと体を動かした。が、すぐに止まる。どうやらまた夢の中らしい。
「あのなぁ……起きろ!おいッ葉!!」
怒鳴る。ついでに、揺する。
「んぅ、……だ、いち?」
ようやく眠そうな葉が、目をこすりながらこちらを向く。名前を呼ばれて、どきっ、とした。
(どきってなんだ!どきって!)
「でもアレだな、やっぱさすが姉弟……足立に似てンな」
ぼそり、と呟く。

どうやら葉はやっと、のそのそとベッドの上ながら体を起こしたようだ。
「んん、朝か……?」
「違ぇーよ。てめぇ俺のベッドで寝てんじゃねえ」
「朝じゃねえなら起こすなよ。おやすみ」
むにゃむにゃと言いながら、また横になった葉を、ガンッ、と足で蹴ってやった。
「っ、おい!なにすんだよ!」
抗議の目を向けるそいつに、思いっきり怒りの表情をつくって、迫っていく。
「なにすんだよ、はこっちだ!俺が寝れねえだろうがっ」
しかしそんな事を言ったところで怯む奴じゃない。
なにせ、俺なんかすぐに倒してしまう力があるのだ、こいつには。……正直悔しいが。

「……はー、もういい。俺が下で寝るから、おまえ使え」
諦めてため息をつく。
背を無向けた、途端、
「!?」
服の袖をひっぱられた。
急な重さにびっくりして、後ろを振り向く。
「ごめん」
急にしおらしい、葉の言葉と。どこか悲しそうな顔。
「え?いや、別にいーけどよ、……えっお前どうした」
「あ、」
「あ?」
「呆れた、かと……思って」
(それで、袖掴んだのか?)
普段図々しいあの葉が、下を向いてしゅんとしている。しかも、俺の袖を掴みながら。
(いや、ちょ、アレ?可愛くね……?)
いやいやいやいや。
首を振る。
ちょ……っ、しっかり俺!!男相手に可愛いとか!!無い無い無い無い。
首を捥げるかと思うほど、更に激しく振る。
多分あれ、足立に似てるとか思ったのがマズいんじゃね?そう、多分!
必死に言い聞かせて、今さっきの思考をどこかへ吹き飛ばそうと足掻いた。
「……大地?」
「あ、きれて……ねーし」
だから袖離せぇぇええええ。
心の中で叫びました。
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