ヤンキー君とメガネちゃん

□いません!
1ページ/2ページ


「あれ?花ちゃんじゃん」
「あ、練馬君」
その日偶然にも出会ったのは、シナが通う学校の女の子。
花ちゃんとは、シナを通じて何度か会ったことがある。どこかネジが外れていて、でも一生懸命な子。
だからだろうか、この子の周りはいつも騒がしそうだ。
けれども今日は、花ちゃんの周りに誰も居ない。普段なら人が溢れているから、不審に思ってきょろきょろする。
「今日はシナとかは?」
「いません!」
「いや……」
そんな力強く言わなくても、居ないのは見れば分かるんだけどね。
「そうじゃなくて、何か用事でも?」
「ああ、品川君は先生と面談らしいです」
「へえ」
じゃあ、今日は花ちゃんひとりなわけだ。
ふーん。なんかこれって、チャンス?じゃん。

「花ちゃんは、今日は暇なの?」
「いいえ」
「あ、用事あるの?」
「用事はないです」
「んん?」
「勉強をするので暇ではないです!」
「あー」
なるほど、暇ってことね?
「花ちゃん」
「はい!」
「俺ね、今日だーれも相手してくれなくて寂しいのよ」
ここまで言ったら大抵の子は察してくれそうなもんだけど、花ちゃんはきょとんとした顔。鈍いねぇ……いやぁ、燃えちゃうじゃん?
シナには悪いけど。今日会えたのも、運命ってことで。
「だからね、お勉強の予定のとこ悪いんだけどさぁ、俺と遊んでくれない?」
「遊ぶ……」
「うん。……ダメ?」
「でも」
うーーんと渋い顔をしている花ちゃんに、ダメ押しでお願いしてみる。
「花ちゃんにしか頼めなくてさぁ」
「仕方ありませんね!お任せください!」
こういうとこはチョロいのね。
「……可愛いねぇ」
「何か言いましたか?」
「いやいや、何も。ありがとねー」
「いえ!」
どやっとした顔で胸を叩く花ちゃんに、顔がほころぶ。
シナに知られたらぶっ飛ばされるかな?まあそれでも良いや、と思いながら、俺は花ちゃんとのデートプランを頭の中で練り始めるのだった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ