保健室の死神

□誕生日に欲しいもの
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「刀哉っお前今日誕生日なんだろ!」
ばんっと大きな音がする。
背中を思いっきり背後から叩かれた刀哉は、
「リュウキ」
よく覚えてたね、でもいきなり背後から攻撃すんのはやめて、と呟きながら龍黄の方を見た。
しかしそんな言葉は、それよりも、と軽く流される。
「何が欲しいよ、お前」
「え?リュウキ、何かくれんの?」
「ったりめーだろ!何でも言え」
びっくりしつつ、まじまじと龍黄を見続けていたら、
「肩たたきでも、気にいらねえやつぶっ飛ばすんでも、何でもしてやるぞ!」
自信満々の龍黄の声。
「……あ、うん」
金は無いんだな、と刀哉は思った。

「ん、じゃあ、これどう?」
「何だよ、言ってみろ」
「リュウキのキス頂戴」
「……はっ!?おおおおお前何言って……!」
「何でもくれるんだろ?いいじゃん、一瞬だし」
にっこりと微笑む刀哉。
反対に、龍黄は顔を真っ赤にしながら、半分怒鳴るように言った。
「そ、そんな恥ずかしい真似が出来るか!」
「ぷっ、龍黄かわいい」
刀哉の発言に、龍黄はますます真っ赤になった。
「ふ、ふざけんな!からかってんじゃねぇ……」
「からかってないよ。本気で欲しい」
「〜〜っ」
真っ赤なままで固まった龍黄を見つつ、ああこれはちょっと困らせ過ぎちゃったかなと、考えて、
「ちぇ、やってくんないかー。まあ、リュウキの可愛い顔見れたしいっか」
と笑いながら、この話を終わろうと龍黄に背を向けた。

「まっ待て、刀哉っ」
「え?」
振り向いた瞬間、頬に柔らかい感触。
「……リュウキ?」
「ここ、これでいいんだろ!満足か!」
相変わらず顔は真っ赤で、龍黄はその恥ずかしさを振り払うかのように叫んでいた。
「リュウキ、ほんと可愛いなあ」
「かわいくねえよ!」
「可愛いよ。だから、満足、って言ってあげたいけど、」
「え」
ぐい、と龍黄の胸倉を掴んだ刀哉は、そのまま自分の唇を龍黄の唇に押し当てる。
「ーーっ!」
目を目一杯に見開いた龍黄は、やっと解放された口元に手を持っていって、わなわなと震えた。
「だって、俺誕生日だし。こんくらいしてもらわないと」
「と、刀哉の馬鹿野郎!」
「はいはい」
「笑ってんじゃねえ!!」
「まあまあ、これで俺、満足したし」
「〜〜〜〜っ、た、誕生日おめでとう」
「ありがと、リュウキ」
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