BOYZ LOVE
□支配されないものもの 後編
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あんなことされたのに。
あんなことがあったのに、なんだこの気持ち。
少年は悩んでいた。これ以上はないというほど眉間に深い皺を寄せながら。
悩みの種は……言うまでもない、例の銀色である。
あの日から、彼に対して今までもあったであろう感情が急に膨れ上がったのだ。少年はそれが何か分かっていた。しかし世間体を考えると同時に、彼はそのことをとても恐ろしく感じたのだった。
「シカマル!!」
いのの声が耳に響いた。かなり切羽詰まったような、そんな。
顔を上げてみると、どうやら自分が考え事をしてる間に他国の忍が侵入したようだ。
おいオレ集中しろっての。
アスマの話はほとんど流していたが、いつものちょろい任務とはやはり違うようで。
「シカマル影真似で!」
月明かりが窓から丁度差し込んでいて、敵はうまいことその前にいた。
「シカマル!!!」
髭面の声とは思えないほど、その声は悲鳴じみていて。
目の前が急に暗くなって、肩が激しく痛んだ。
「おっ」
「んん……うっ痛ぅ……」
部屋の冷たさで傷が痛んだ。
どうしてここに至ったかは分からないが、傍には丸椅子に座って困ったように微笑む髭面の上忍。
どうやら自分は深手を負って眠っていたようだ。
「あっ!」
咄嗟にじわり、と熱くもないのに汗が湧き出た。自分はあのまま……どうしたんだ?
シカマルの狼狽えた表情から、ゆっくりとその答えをくれたのは他でもない、髭面だった。
「お前ボーッとして敵に右肩バッサリ切られて、出血多量で貧血起こしたんだぞ。敵は俺たちで殺ったから安心しろ」
貧血って女かよ。
「すんません」
ふいに悪寒を感じて、傷の肩を触ってみた。
「ぐっ…」
それは気づくと一層痛みを増したように思えたのだった。
シカマルは本人がどうあがこうと、その後任務に出してもらえなかった。
任務は予定していた最短期間、1週間で終了。
シカマルが就いていたのはたったの2日間。