めんどうくさいけど

□マガう
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 夏、といえば海。海、といえば。



「えっ!?イルカ先生が……」





マガう




 結婚式なんてのは初めて来た。今までもあったんだろう、結婚する輩は。
 でも時期も時期で、籍だけ入れたって感じだ。きっと。


 木ノ葉が、というかすべての国がひとまず平和になってしまったこの御時世。忍なんていうものはステータスをなくして、ましてや依頼なんて以前みたいに大量に来なくて。




 あれから何年経ったかって?


 五年経ったよ。オレも今やハタチ。ちなみに今日はイルカ先生の結婚式。オレらの恩師で、太陽みたいな存在のひと。




「ちょっとォ!アンタ何ぼけっとしてんのよ!」

「ん?あぁ悪ぃ」


 いのに肩を揺すられて、今が結婚式最中だと思い出した。何というか、花嫁と花婿を抜いてしまったらただの宴会と変わらない気がする。

 まぁ、抜くことなんてありえないけれど。


「次に、毎日のように一楽に通っている常連・うずまきナルトさんにお話をお願いします」



 言い忘れてた。


「えっと、オレは一楽がだいすきで……イルカ先生も……」


 花嫁は、一楽のアヤメさん。あの一楽の。


「先生によく連れていってもらって……ほんと感謝してるってばよ」


 馬鹿だったナルトがスピーチなんかしているのを見て、変わったよな、と何か特定のものに対してじゃなくそう思った。


 変わっていく、オレだって。女嫌いだったあの頃と違って、今じゃ女なしじゃ生きていけないし、いのと付き合っている。





 スライドショーが始まる。イルカ先生の幼少期の写真には、初めて見る先生の両親が写っていた。先生と同じ、太陽みたいに笑う二人はとても若くて。もしかしたら自分と年があまり変わらないんじゃないか、と思うと目頭が熱くなった。


 次第に三代目が顔を出す。“木ノ葉崩し”で死んだ三代目。先生の孤独なんて分かるはずないのに、また涙が出そうになった。



「泣い、てんの……?」
 目を真っ赤にして、いのが聞いてきた。

「前向いてろ、ばか」
 苦し紛れにそう言うと涙をすい、と掬ってくれた。



 周りを見ると、忍やってる奴は(辞めた奴も)みんな泣いていた。

 こういうのが今も消えないのかもしれない。時代の残した爪痕とでもいうのか。


 そもそも人は、人を殺すにはやさしすぎるのだ。



 スライドショーがアヤメさんの生い立ちに変わる。一楽の写真には毎回のように先生(とナルト)が写っていた。

 こういう風に見ると、ナルトを一楽に連れていってたのにも他に違う理由があったんじゃないか、なんて思ってしまう。
 もう二度と純粋になれない自分が、少し怖い気がした。





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