BOYZ LOVE
□支配されないものもの 後編
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任務もそこそこに俺は暖かい日差しを受けながら、いつもの場所で一眠りしようとしていた。
「めんどくせぇ……か」
口から漏れた言葉は、実にシンプルで。それでいてこの世界の全てを侮辱しているような、嘲笑うかのような。そんな響きを持っていた。
ここ最近疲れているのもあって俺はすぐに眠りに就いてしまった。
カサ……
先程も話したように、上忍がそんなそこらで深い眠りに就くことなどありえないのだ。
人の気配が近づいてきたので途端に目が覚める。
ゆっくりと近づいてきたそれはふるふると震えていた。
ああ、鹿ちゃんか。
眠ったフリをしてやろう。いきなり起き上がってまた苛めてやる。
気配は歩と共に少しずつ大きくなって。鹿の震えは止まることがなく。相手の肺の音が聞こえるようだった。
「オレ……アンタのことどうも思ってなかった。ただその気になって。でも……」
シカマルの言いたいことなど分かっている。少女のように頬を染めているのだろうか。
聞いているこっちが酸っぱい気分だ。
「……でもこの前から変わった。ここで会って、そのあとは思い出したくねぇけど。
オレ、カカシ先生が好き……みてぇ……え」
俺が起きた瞬間のシカマルは急に強ばった顔になり、表情は姿を消した。俺に触れたそうに、近くで震えていた腕を手元に戻そうとするが。俺はそれを許すほどロマンチストじゃない。ギュッと力強く握ってみせた。
ああ、こんなに脅えちゃって。
「あ、こっこの前はすみません」
「いいのいいの」
ま!俺も悪かったかな。
「……放してください」
「あ、お礼」
「あの……」
「まだだったから」
早くしないと逃げられそうで、何年かぶりに口布をしたまま口付けをした。
今日はこのまま持って帰ろう。
あと少しで俺の家だ。
完
→あとがき