短いはなし

□眼に映る5%の世界が僕のすべて
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※佐助、幸村共に6歳設定。

政宗は幸村たちの従兄弟。25歳くらい。







「佐助ー、おふろ!!」



「はいはい。じゃあばんざーいして。」



「ばんざーい、」





目つむり、幸村が大きく手を上げるとそのまま佐助は幸村のTシャツを頭から一気に引っ張り出す。





「今日は、あひるさんがおるのだなー!なー、佐助!」



「はいはい、そうだねっと。もう、足バタつかさないの、靴下脱がせられないでしょ。」




キャッキャッと笑いながら足をバタつかせる幸村の足から器用にさらに靴下を取り去る佐助。



そんな姿をみて、2人の従兄弟であり唯一の親戚である政宗が溜め息をついた。





「幸村はまだ着替えも佐助にやってもらってんのかよ、6歳にもなって。」



「いーのですっ!!」




「旦那、ズボンも脱ぐからちょっと立って。」





同い年にも関わらず、

ニコニコと笑って何も考えてなさそうな幸村と、幸村の身の回りの世話全てをこなす佐助、

この兄弟の違いにはほとほと呆れてしまう。






「はい、旦那。おふろ入ってきていいよー」



「うおおお!!」





幸村の衣類を全てを脱がし終わると、佐助の許しが出た途端叫びながら湯船に飛び込んでいく幸村。それを佐助は溜め息をつきながらも愛しそうに見つめる。政宗はそんな幸村の前で以外は冷静沈着なもう1人の子供に眼をむけた。






「お前ら、2人で住んでるんだろう?」


「うん」




「俺が一緒に住んでやろうか?」




「いやだね。」




幼くして両親を失った幸村と佐助。


素直な幸村とは違って、子供ながらに幸村を守ってきた佐助は幸村意外の者には容赦がない。唯一の親戚の政宗にも。





「……俺は心配してんだ。お前は生きていけるだろうが、幸村はまだ心も餓鬼だ。だから、俺が引き取ってもいいんだぞ?お前も、もうあんな汚れ事しなくていいんだ。」
佐助は幸村と生活できるためなら何でもやった。6歳ながらに身体を売る事も人を傷つける事も。





「何言ってんだか、旦那の世話を竜の旦那にできるはずがない。

俺は汚れたっていいんだよ、あの子が綺麗でいてくれるなら。」




あの子は俺がいないと生きていけないんだ。







「違うだろ。」




そして20歳を超えた政宗の穏やかな目と、6歳の佐助の佐助の鋭い敵意を現した目が合い始める。





「お前が幸村なしじゃ生きていけないんだろう?」







そうだ、あの子が映る小さな世界だけが俺の場所。




(あの子が俺の、存在価値、)




END
 

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