長めのはなし
□だってずっと好きだった
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(いいよ、待ってる!)
嗚呼、いつ思い出してもニヤけてしまう。
この頃の某は変なのだ。佐助の一言一言に一喜一憂してしまう。今まではそんな意識せずに、まるで空気のような当たり前で、かつ不可欠な存在だったのに。
(でも…佐助が日に日にかっこよくなっているのは某の気のせいではないのだろうな…)
そう、これこそが某の悩みの種なのである。
昔は、某より弱く華奢で小さかった佐助。
今では身長は某を遥かに超え、足も伸びてスタイル抜群、顔も大人びていった。しかも最近気付いたのだが、スマートだと思っていた佐助の身体は案外逞しい。
(これは周りの女子はほっとかないでござろうな)
その通りであった。
中学生の時は猿みたいー、かわいー、とからかわれていた佐助。今では立派な美男子に成長したおかげで、実はこの学校の中で一番イケメンなんじゃねーの?的な流れになっている。
つまり、佐助は今最大のモテ期なのである。
だから体育の時や、球技大会の時なんていつも大変である。
佐助が汗のせいで体操着を脱ぐと、あらわになった逞しい上半身を記録しようとカメラのフラッシュが四方八方から飛び交い、
その間にも、腹筋やばーいとか、超腰エロい!とか抱かれてぇー!とか破廉恥極まりない言葉が佐助に浴びせられるのだ。
(しかもこの頃某にも女子からの破廉恥な行動が移ってきている気がするでござる…)
悩みその2、最近女子の某に対するスキンシップが激しい。多分いつも佐助と一緒にいる某が気に食わんのだろうな。
(…学校一のいけめんを好きになるというのは大変でござる…)
ふぅ…と溜め息を一つついた某は机にパタリと倒れた。
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