長めのはなし
□ずっと俺だけ見てなさい◆前編
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………
「めんどくさー。あーもうテンション下がるー」
「何言っておる、とても光栄な事ではないか。」
学校からの帰り道。
幸村と佐助は手をつなぎながら歩いていた。もちろん周りには誰もいない。
でも佐助は今日の出来事でまだ機嫌は直っていなかった。
「だって、旦那と文化祭一緒にいたかったし。旦那は俺様と一緒にいれなくて寂しくないの?」
「子ども扱いするなっ…、………でも少し、少しだけ残念だ。だがしょうがない…。」
そう言ってシュンと顔を俯かせて佐助の手をキュッと握り返す。
それはとてもとても、佐助には世界で一番可愛く可憐なものに見えた。テンションも上がりました。
「だ…旦那ぁあ!!可愛い可愛いっvV萌え死ぬ!」
「むぅ!むむっ!苦しいでござるぅうう!!」
やーんと足をバタつかせて佐助の腕から逃れようとする幸村。
そのすがたは同い年の男子には絶対見えない。
(こんな可愛い男がいたら誰だってホモになるっつーの!)
しばらく幸村のフワフワな髪の毛に頬擦りしていた佐助であったが、段々いけない感情がフツフツと湧いてきたらしく、突然幸村の耳に顔を寄せて、その幸村の耳を優しく唇に挟んだ。
「ひゃあぁ…!」
その途端ビクンと身体を震わせ叫び声を出して、身体の力が抜けて崩れ落ちそうになる幸村の身体
だが佐助はそんな幸村の身体をちゃんと即座に支えてやった。
「今日俺様んち行こっか。ね、いいでしょう?」
「ぁ…やだ、佐助ぇ、こんなとこで…あっぁ…!」
んーvVとハートを飛ばしながら佐助はそのまま耳に息を吹き掛けながら幸村を誘惑する。ちゃっかり幸村のシャツの中にまで手を入れて。
「わかった…!佐助の家いく!だからもう…!ふぁ…」
「可愛い旦那…早くいこーね!」
そう言って、さっきの機嫌の悪さはどこへやら
佐助は嬉しそうに力の抜けた幸村を肩に抱えて走り出したのであった。
…………
「んっ…」
ギシッとベッドのきしむ音がした。
くちゅ、
「んぁ…んむ、んんん…ぁん、」
佐助の熱い舌が幸村の口内を容赦なく撫で回す、上顎の辺りを舌で優しく撫でられたりすると、腰がのけ反る程快感が走る。
(佐助のキスは何故こうも気持ちいいのだ…)
言わずもがな、それは佐助のテクニックがハンパじゃないからなのだが、
そうなるとある不安が頭の中を駆け巡る。
(某と結ばれる前までは、たくさんの女子とこういう事をしていたのだろうな…)
そういう噂は嫌でも耳に入ってきた。佐助は来る者拒まず、去る者追わずのプレイボーイであると。
某と恋人関係になってからはそんな話は全く聞かなくなったが。
だから、佐助は上手いのだ。それに優しい。
こんな風に、某以外の人に触れていた、なんて。
そう思うと何故か急に恐ろしくなって、つい咄嗟に佐助から身体を放してしまった。
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