長めのはなし
□ずっと俺だけ見てなさい◆前編
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…………
「……で、何であの時旦那の様子変だったの?」
「な…なんの事でござるか?」
佐助に腕枕をされ、ピッタリと身体を寄せ合う姿はまるで初夜のあとのカップルのよう。
だが、その雰囲気はけして甘いものではなかった。
「……なんのこと?だってぇ?結構俺様傷ついたんだよ、くすん。」
「だって…モニョモニョ……」
言えない。プレイボーイだった時の佐助に嫉妬してしまったなんて。
(ああああ、某はこんなワガママで重い男だったのだろうか!)
こんなこと、思ってしまった自分を嫌悪した。
「…ほんとに、俺様の事嫌いになったの?」
「何故そうなる!!」
「じゃあ理由言ってよ。それまで俺様安心できない。」
「うっ…!!」
ここで何か他の事で誤魔化されればいいのだが、某はそんな器用ではないし、第一佐助がそれを許さない。
「………これから、某が何を言っても嫌いになったりしないか?」
「なるわけないじゃない。」
佐助の言葉に若干安心して、某は息を軽く吐くとようやく覚悟をきめた。
「…佐助は、某と付き合う前は女子と仲が良かったであろう?」
「まぁ……うん。」
「キスとか…破廉恥な事もいっぱいしていたのだろう…」
「………。」
「今更隠すな。噂で嫌というほど聞いている。」
「……はい、してました。」
そして、幸村は顔を真っ赤にしながら手をギュッと握り締めた。
「佐助からのキスも、佐助に触れられるのも、全部気持ちよくて優しくて…、今までの女子にもこんな優しく大事そうに触れていたのだと思うと…、嫌な気持ちになるのだ。ここがギュッと締め付けられたみたいに苦しくなる。」
そして自分の心臓に手を当てる。
「なんなのだろうな。某自身、自分がこんな重い男だとは思わなかった。……佐助と結ばれてからだ、こんな思いになったの。」
でもな!それは佐助が悪いわけでは…!
そう言いかけて佐助の方を急いで向くと
ガバッ
「うお!」
いきなり横にいた佐助が幸村の上にいた。押し倒す形で。
「旦那…ヤキモチやいてくれたんだ。」
「やき…もち?」
「俺様の事が好きで好きでしょうがなくなること。」
「…///そんな事はないっ!!」
ボンッと顔が真っ赤になってジタバタと暴れだす幸村。
そんな姿が、愛しくて愛しくてたまらなかった。
「俺様嬉しい、ほんと。へへっ」
「…////!!、佐助…」
いつもかっこいい佐助の照れたような可愛い笑顔にドキンと高鳴る胸。
2人は愛しそうに相手と見つめあう。
「でも、俺様が今、これからも優しくするのは旦那だけだよ。もー決めたから。」
「………恥ずかしい…///。」
顔を真っ赤にさせてキャーと顔を背ける幸村に、もっと恥ずかしい事したばっかなのにーと笑いながら呟くと、破廉恥!と、枕を投げ付けられた。
「……ていうか、旦那。」
「なんだ?」
「もう一回しよ?」
「えぇええええ!」
「さっきの旦那が可愛いすぎてもー我慢できない。……ね?気持ちよくしてあげるから…」
「ゃ…あっ…!どこ触って……あんっ///!」
そして第二ラウンドが始まってしまったのは言うまでもない。
…………