灰色のキス
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・・・あの後、ラビと僕はコートを取りに戻った。
その途中でリナリーに会って
『あれ、二人ともどこに行くの?』
『リナリーには教えられないんさ〜!』
ラビはもの凄い笑顔だったな。
『?』
僕はため息を吐くと、苦笑いをした。
こんなこと言うのも変なカンジですけど。
『男のロマン、らしいですよ』
すると、リナリーは笑顔になった。
『ふふ、アレンくんも大変ね』
『そんなことないぜ、アレンだってロマンを求めてるんさあ!』
『え゛っ!?』
“なあ?”とか言って僕を見るラビ。
いや、止めてください;
僕までロマンを追う人間みたいじゃないですかっ!
リナリーに怪しい勘違いされますから。
そーいうのはラビだけで十分ですって・・・;
そのあと、軽く挨拶をしてリナリーとは別れた。
そして今、教団を出た僕たちは町に着くところだった。
こんなに雪が降ってるっていうのに、人の足は多くて驚いた。
家の中に居れば
寒い思いも、
歩きにくい思いも
何もしなくて済むのに・・・。
って、僕だって外に出てるんだなあ・・・・意外。
僕たちはお店の並ぶ道へ入った。
仕切りに降り積もってゆく雪のせいで、僕らの頭には雪が積もっては解けていく・・・・。
手に取れば、とてもサラサラした雪で、染みてくる冷たさに懐かしさを覚える。
ふと、隣のラビを見るとー・・・
「あれ・・・・・ラビ?」
その顔・・・・、なんですか;
ラビは僕を越した向かい側の飲食店?らしき場所を見ていた。
「アレン、見るさ」
「は・・・・・ちょ、ちょっと!?」
ポカンと口を開けたラビはいきなり僕の頭を掴んだ。
ぐるっと、回転させられた頭に視点を合わせられずにクラクラしていると、
ラビが僕の耳元に手をあてた。
「ほら、あそこのテラスの女の子!ずっとアレンを見てるさ」
「え?見間違いじゃないですかー・・・」
ホラホラ、あそこの・・・・
と、ラビが指差す先。確かに白いコートを着た女の人が見える。
肌が真っ白な雪のようで・・・、遠目からでも分かるほどの美人に見えた。
その目は、僕を見ながら微笑んでー・・・。
「!?」
僕の心臓は、一瞬跳ね上がったように感じた。
・・・・・大した事じゃない。
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