快楽主義者の集い場
□DOLLY
1ページ/5ページ
最近、暗殺業に関する小説やマンガを、よく目にするようになった。
―――まったく、馬鹿馬鹿しいと思う。
現場はそんなに、お綺麗なモノじゃない。
【第1章:あなたのために】
本部に帰った途端、主人に目を剥かれた。
「ひどい格好だな、秀人!」
言われて、自分を見下ろす。
漆黒のコートはビリビリに裂け、所々に返り血がシミを作っていた。
秀人は主人に視線を戻し、いつも通りの抑揚の無い声で言う。
「大した事ではありません」
言うと主人は軽く眉をひそめ、困ったように笑った。
「……そうかい?」
「はい」
目の前の主人は、秀人が唯一、自分が命を受けるに値する人物としている男だ。
名は、瑞木。
美しい名だ。
俺は、あなたのために生き、死ぬ。
そのためにこの世に生まれ落ちた。
そう自負している。