短編小説A

□『バレンタイン攻防』
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今年のバレンタインは土曜日と言う事も手伝って、世の中はサワサワしてると思う。

「すいません10代目…せっかくの休日にお宅にお邪魔して」

「いーって、いーって。君んち今日大変だろ? 気兼ねなくいてよ」
綱吉の部屋で、申し訳なさそうに平身低頭している獄寺くんに、気にしないでいいよ、と手を振る。

学校で手渡せない分、女の子たちが獄寺くんのマンションに大挙して押し寄せて来てるんだ。
(それはやっぱり気に入らないけど…おかげで今日は獄寺くんは家に来てくれたし)

獄寺としてもこの状況は願ったりだ。
(バレンタインに10代目とご一緒!! 夢みてーだ//!)

「あ…の!10代目!良かったらコレ…ッ!」
そう言って、持ってきた紙袋からシックな包装紙に包まれた小さな箱を出す。
茶色いリボン。そしてミニ薔薇のブーケ。

「チョコ…なんス。やっぱり俺10代目の事好きで…」
カァアッと赤くなる獄寺に、綱吉もボボボッ!と真っ赤になる。

少し前、獄寺に告白されたのだ。
(う…わっ、照れる…っ//)

「あ…のね? 獄寺くん、これ…」
綱吉は立ち上がると、机の引き出しからモソモソと何かを取り出してまた正面に座った。

差し出されたのは綺麗にラッピングされたチョコ。

「…交換しない?良かったら、食べて」
目尻まで赤く染めた顔に、獄寺はパァアッと顔を期待で輝かせる。

「10代目…それって…ッ//」

「あ…の、その…オレも君の事…っ// わぁああ!告白って恥ずかしいっ!!」
もじもじしてたら獄寺くんが急にバフッと抱きしめてきた。

「Σわ!!わわ//!??ごごご獄寺くんっ!?」

「〜〜っ!!嬉しいっス10代目〜!!」
だーっ、と、歓喜の涙を流す。

「お…大袈裟だよ、君は」
(もう…何だかな//)
ハグされている事に照れながらも、よしよしと背中をなぜる。
その手が心地良くて、獄寺も鼻をすすった。
そっと体を離してお互いにヘヘ//っと、笑いあう。

「ね、取り敢えず食べてみて? 実は手作りなんだ…母さんに教えてもらって…
Σあ!味見!!」
綱吉は青くなった。

「10代目?」
ラッピングを開けた獄寺の手から小さなハート型のチョコを1つ取る。

「ごめん!先に1つだけ食べさせてね? 初めて作ったから不安でっ」
(せっかく作ったのに!おいしいと思われたいじゃん!)
そう言ってパクリと口に入れる。

「大丈夫ですよ、そんな…」
(俺はあなたがくれるなら、例え毒でも食べますから)
すると、言いかけた獄寺の言葉を遮るように、部屋のドアがガチャリと開いた。
ビアンキだ。


今日は(←笑)弟に気を使ってか、ゴーグルで顔を半分隠している。

(ビアンキ?)
口をモゴモゴと、綱吉。

「ツナ…悪いわね、どうも私が作ったチョコが足りないのよ。あなたの中に紛れてるんだと思うんだけど」
にーっこり、笑う。

「『キスチョコ』っていうの。食べて初めて見た人にキスしたくなる秘薬入りよ…
効き目は…そうね、12時間。害はないから。
ふふ、悪いわね」
パタン、ビアンキがドアを閉めたと同時に、ゴクリとツナは嚥下した。

「……の、飲んじゃった…ιι」
「Σ10代目――ッ!?」
「…うわぁぁあ!?」


バッ!
瞬間取り敢えず目は瞑ってみたもののっ!!

(どうするっ!? どうするオレっ!!//目を開ければキスオッケーのサイン!!)
そのまま見ちゃえば薬のせいに出来たのに、今からだったらそれはオレの意志!??
ひぇぇぇえ!!ビアンキの馬鹿っ//!!

「じゅ、10代目…//?」
(火照った顔が可愛いっス〜v)

ドキッとする、甘やかな獄寺くんの声。

ドキン、ドキン、ドキドキドキドキ
(うっわ――っ! もう心臓爆発寸前!!)

このまま目を閉じ続けるか(獄寺くんの前でずっと目ぇ瞑ってんのもヤなんだけどっ!)
目を開けて獄寺くんとキスするか、



タイムリミットは12時間


―――


バレンタインは進展のチャンスですねo(^-^)o♪

ありがとうございました!


 
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