贈り物

□『ハルの学園レポート
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皆さんこんにちは!三浦ハルです。今日はこちらの学園の、とある毎日の風景をレポートしちゃいます!
おやおや?誰か来たようですよ?


 † † †


「失礼しまーす」
ガチャリと音を立てて室内に入った小柄な少年に、中から柔らかい声が降る。

「…失礼します、だなんて会長、貴方はこの部屋の主なんですから、もっと堂々として下さって善いんですよ?」

「…オレ、会長って柄じゃないし」

放課後の生徒会室で、クスリと笑む書記の獄寺に対し、可愛らしく膨れて見せる会長、沢田綱吉の姿がそこにはあった。


 ◇ ◇ ◇


「大体何でオレが選ばれてるのかわかんないよ。皆何考えてるんだろ?」
う〜ん、と伸びをして机にもたれ掛かる。

「貴方の人徳に決まってるじゃないですか。それに俺は貴方以外の下に付くつもりはありませんから、この結果は当然だと思っていますがね」
どうぞ?とお茶を出しながら、その動作の可愛らしさに目を細める獄寺。

「あ、あ、ありがと…」
お茶を飲みながらちょっとむーっとする。

(でも絶対陰謀だよ!)
「…獄寺くん、眼鏡外して」

「は?何ですか?いきなり」

「君、眼鏡するとキャラ違うんだもん!何かズルいっ!」

「え!?あっ!わぁあッ、おおお止め下さい会長〜っ!!」

途端にあわあわとなる。

「皆、知らないから騙されてるんだよ!」

間近で覗き込まれて意識が飛ぶ。
(見え過ぎちゃって、困るんです!かいちょおおっ)

「視力も悪くないのに、度なんか入れて、目ぇ悪くなっちゃうよ?」
間近で見られて、熱が上昇する。

「返して下さいっ、ヤバいですから!」

「?なんで?」

ドタドタしてたらまたドアが開いた。

「きゃーっっ!!獄寺さんが、ツナさんを襲ってます〜っ!!」
「えぇ!?ハルちゃん本当に!?」
ヒョイっと顔を出す女の子二人に獄寺は睨みを効かし、綱吉は慌てる。

「ッ、ごっ誤解だから!! 京子ちゃん、ハル!」

「アホなこと言ってんじゃねぇ!(したいけど)てめぇら来るのも遅ーんだよっ!」

途端ぷーっと頬を膨らませる。
「酷いですぅ。京子ちゃんとハルで、すっごく良いもの用意したのに、獄寺さんには見せてあげませんよ!?」

ねーっとお互い顔を見遣って楽しそうに笑うけど。

(ゾクッ!!)
「え…何? なんか、凄く嫌な予感がするんだけど」
妙に働く直感にビクビクしながら綱吉が問うと、

「嫌な予感なんてないですよ!ホントは皆さん揃われてから見せたかったんですけど、先に見ます?」

「え!?い、いいよっ!何かとんでもなく嫌な感じするしっ」
ぶんぶんと手と顔を振るが、

「これです〜」
なんて紙袋からビラぁって出されたのは…

「…えと、何?これ」

「見て分かりませんか?セーラー服です!」

「…うち、ブレザーだよね? 何で…」

「それはもちろん会長に着てもらう為ですよ!!」
ねーっとまた顔を合わせて!

(嫌な予感当たったーっっ!!)
がーん! 何考えてんだよ二人とも! 獄寺くんは鼻を押さえて悶絶してるし、
ああもう最悪っっ!!


 ◇ ◇ ◇


「ほらぁ、こないだ学祭のアンケートで、生徒会主催のイベント何がいいか集めたじゃないですか。
あれぶっちぎり『会長に女装させたい』が1位だったんですよ! で、手始めにこれを」
手始めってなんだよ!

「ツナくん色白だし似合うよきっと〜」
ふふふっなんて、
(京子ちゃんまで〜ッ!?)

ウィッグもあるんですよ〜、なんて喜んで出してるけど、オレはおもちゃかーっ!!

「〜〜っ! とにかくコレは却下!! サッサとしまって…っ」
「よ〜っす、ツナぁ。皆来てるかぁ?」

「あ」
「あ」

後から来た山本の視線は今まさに仕舞われようとしてたセーラー服に釘付けで。



「…ふんふん、なるほどねぇ。ツナに女装を」
だらだらと汗が流れる。この展開はもしかして…?

「んな面白いこと、やらないわけにはいかないのなー」
ニカッと笑顔!

(ぎゃーっ!!やっぱりぃい!?)
「いや! オレその用事を思い出してっ」

「逃げんなよ、似合うぞ〜きっと」
ゾクッ! 笑顔だけど目がマジだ。こーゆー時の山本は黒い。

「いいいやあのそのっ!」

「何なら着替え手伝ってやんのな」
ぎゃーっ!何マジで脱がしかけてんだよッ!!

「いいっいい!自分でやるからっ」
はっ、しまった! 自分から言ってしまった。

「そか、んじゃあ待ってるのなー」
ニカッ、なんて…うぅ。口車に載せられた気分。

えーい、もうどうにでもなれ…!!



 
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