贈り物

□『緊急!恋愛警報』
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もう本当に、『君が、傍に居てくれること』
それが当たり前に在る事の意味に、オレは気付かないでいた。


 ◇ ◇ ◇


「う〜ん、…わかんない」
家でリボーンに怒られながら宿題やるのも嫌だったので、放課後図書室で獄寺くんに課題を教わっていた。

「大丈夫ですよ、10代目。数学なんて、式に数字ぶちこめば答えが出るもんなんスから!」
ニカッて…、それが出来れば苦労しないんだよ?

(ふぅ、やれやれ)

「ですからここは━…」

優しく説明してくれる獄寺くんには悪いけど、オレの視線といったら、普段は掛けない君の眼鏡スタイルだったり、シャーペンを握る長いけどゴツゴツした手だったり、サラリと落ちる、銀色の髪だったりして…

(綺麗だよなぁ…)
っていうか、カッコいい。普段は暴走してるせいでウッカリするけど、なんでこんな人がオレの傍に当たり前みたいにいるのかな?

ぼーっと見てたら、ノートを見ていた伏し目がちな君の瞳が、チラリとオレを見た。

「…10代目?」

「うん、…大好きだよ」



しーん、長の沈黙。

ガタン!!

(〜〜ッ、何言っちゃってんだよオレのバカ!!)
動揺して思わず椅子から立ち上がって、でもテンパって椅子の脚につまづいてドガタタタァッとひっくり返る。

「ったー!いたたたた…」

「だ、大丈夫ですか!? 10代目」

静かな図書室で大音響を上げた為、視線が一気に此方に集中する。

「ゔ〜…大丈夫じゃない、ご、ご、ごめん!」
慌ててパタパタと椅子を直して埃を祓う。

(ぎゃああっ、恥ずかしっ!!何言っちゃってんのオレ!
『好き』って、好きって…、好きだったのかぁあ!?)
なんの気なしに口をついて出た言葉。オレは何て抜けてるんだ。自覚する前に告白なんて。

カァアって熱くなる顔。

「10代目、ひとまずこちらへ…」

「━…え? は? わぁっ!」

非難するような視線を避けるように、獄寺くんはオレを書棚の最奥へと引っ張って行った。


 ◇ ◇ ◇


トンっと、書棚と獄寺くんの腕に挟まれて居づらい。

(う〜っ顔、顔あげらんないっ!)
視線の集中砲火から逃れたものの、今度は獄寺くん一点の視線にやられる。

「10代目、先程俺の事、『好きだ』って言いましたよね?」

「う…、言…ってない。空耳」

「いいえ、しっかり聞きました。逃がしません。貴方の気持ちが知りたいんです」
狭い書棚で静かに詰め寄られてドキッとする。

「い、い、い、言ってないっっ」
(ひぃぃぃぃ!? だってオレだってさっき自覚したばかりなのに、何でこんな事になっちゃってんのー???)

「10代目」

ドキン!

真剣な瞳で見つめられて。

「うぁ…、言っ…た」

「…何て?」

(聞こえてたって言ったじゃない! イジワル!)
答えを聞くまでは解放しないという雰囲気に、オレはとうとう降参する。

「……が、好、き」
ボソリと呟くオレに、

「聞こえ、ません」

(うわ!)
耳元で囁くハスキーな声に、ゾクリとして膝が折れる。
自覚すると恥ずかしい。何で今まで普通に二人きりでいられたの!?
(普通、普通って、どうやってたっけ!??
ってか何で獄寺くんはこんなにしつこく粘るの? 男に告白されて、しかも仮にも『ボス』と言われるほど憧憬として見られてた対象に、こんな事言われて、気持ち悪くないのかな?)

「〜〜ッ、君が、好きだよ」
ズルズルと崩れるオレを、宝物みたいにそっと抱き締めて、愛しげに背中を擦る。

「良く、出来ました。10代目、鈍いにもほどがあるっスよ?」

「え?」
おずおずと見上げてみれば満面の笑み。

「俺だって、ずーっと、ずーっと、好きだったんスからね?」
ニカーッって微笑まれて。

(うそ…)
獄寺くんもオレの事!??

そうやって、恋に気付いた瞬間にオレの想いは成就したんだけど。

「あああああの、ちょっと…!」
人目も憚らずぎゅうぎゅうと抱き締める腕と降りてきそうな唇に困惑する。

(オレひょっとしてTPOとか間違ったんじゃないかしら、 獄寺くんにはもっとこう、『しつけ』みたいなもんも必要なんじゃ!?)
心臓が早鐘のようにドキドキ警報を鳴らす。

ひぃぃぃいっ、と為りながら、これからの未来に一抹の不安を感じつつも、取り敢えず今はこの甘く力強い腕を甘受する事にした。



 
━━━



リクは「恋を自覚したツナがいつも通りに振る舞えない獄ツナ」だったかな!?
合ってますか?蓮嘩さん(笑)
ニ万打達成おめでとうございます!これからも頑張って下さいo(^-^)o




 

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