短編小説A

□瓜獄SS
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匣《ボックス》を開けて飛び出してきたヤツは、とんでもないライバルだった。


 ◇ ◇ ◇


「う〜ん、《SISTEMA・CAI》に使う匣から現れたって事は…コイツもその策に組み込まれた一辺を担うものなんだろーが」
ガリガリと頭を掻く。

「こんな、弱っちそうなヤツが、本当に武器なのか?」
チラリ、眼鏡を押し上げてそちらを見れば、ゴロゴロと喉を鳴らして顔を舐めていた生き物が、途端フシャアアアッ!っと鳴いたかと思ったら顔に飛び付いて頭をかじり出した。

バリバリッ!!

「フゲェェェ!痛て━━ってばよ!!」
ネコキックネコキック!

ガシッガシッ!顔面を猫キックするソイツの首根っこを、むんずと掴んで力一杯放り投げる。
ソイツは宙で一回転すると軽やかにスタッと着地した。
耳や手足、尻尾からボボボっと朱い焔が燃え上がり、

『弱くなんかないぞ!!』
フシャアアア!とでも言っているようだ。

「Σ威嚇かよ!!」

更にピョーイっと獄寺の肩にジャンプすると、小馬鹿にしたように尻尾をパシッと打ち鳴らし獄寺の顔を叩いた。
「Σふがっ!」

カシン!

これが割りと痛かった。眼鏡に勢い良く尻尾が当たり、フレームがガリッとこめかみを削ったからだ。

『アホーが、』、しれっとした目線に頭に血が昇る。

「てんめ〜…っ!」
ギッと睨んで。

「待て!このやろーッ!」
もう許さん!
ピョ〜イ、ピョ〜イっと飛び回る小さい身体を捕まえようとドタバタ走り回る。
その度獄寺の腕はスカッ、スカッと宙を切り、ぶつかっては書棚の本をひっくり返し、モウモウと埃を立ち上らせた。

「…ッんなろ!!」
からかうようにドアの方へターンっと飛んだ身体を、
(よし!捕まえた…っ)
目で追い目測を付けた瞬間、閉まっていた扉がガチャリと開いた。

「獄寺くん、様子どぉ?今お茶が…っどわ!??「…ッんな!?ッ10代目!?ッわぁあ!!」

勢いが止まらないまま突進してそのままバッタ〜ン!ドンガラガッシャンっと押し倒す。

倒れ込む咄嗟に綱吉の後頭部を手でかばって、身体に巻き込んだ。

「…あだー…ったたた…」

「っててて、だ、大丈夫ですか!?10代、目」

「あ…うん、平気…」

真下に押し倒した格好のツナを見下ろしドキンとする。

(んなななな!勢いとはいえ俺は何て事を…っ!10代目を押し倒しちまうなんて…///)

「獄寺くんこそ大丈夫!?どっかぶつけたんじゃないの!?顔が真っ赤になったり真っ青になったりしてるよ!?あ、こめかみから血が━…っ」

(近い!近い!距離近いっス10代目ぇッ!!)
むきだしのオデコが可愛い//

ぐるんぐるんしている獄寺の頬に、心配して小さな手を当てる、その感触にクラクラきて、

「じゅー代目…ッ」
大好きです!!ガバッとハグしようとした、その時。

「にょおん」
っと声がして、獄寺と綱吉の間からスルッとしなやかな生き物が顔を出した。

「…あ、獄寺くんのネコ…」

仔猫はゴロゴロと喉を鳴らすと、倒れたまんまの綱吉の顔に擦り寄り、その唇をペロペロっと舐める。

「ひゃあ//くすぐったいよ!やだやめて//」
クスクスと笑う綱吉は何故か色を帯びたように眼に写り、獄寺の脳内をピンク色に染める。

『やだやめて獄寺くん、あぁあんv』

「Σほげ━━っ//!!」

「ごごご獄寺くん━━!?」

あり得ない妄想に鼻血を噴いて崩れる俺を、大丈夫!?っと身体を起こして10代目が心配そうに背中を擦る。

(〜〜っんなっろぉ〜!!)
ボタボタと流れる鼻血を押さえながら小さい生き物を睨む。

(コイツはライバルだ!俺と10代目の仲を裂こうとしている…っ)

本当は仲もヘッタクレもまだない関係なのだがι

炎の色を纏った白い毛並みの小さな仔猫は、フッとほくそ笑むと、光る瞳で獄寺を見下したように笑った(気がした)。



 

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