短編小説A
□『My Dear』
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「あー、いたいた。リボーン?」
「…ツナ」
沢田家の屋上で月を眺めてるリボーンを見つけてツナも梯子を登った。
† † †
「何してんだよ、お前。こんな夜更けに寝てないなんて珍しい。それにいくら何でももう外は寒くないか?」
う〜寒さむ!っと震えながらバサッと毛布を持ち込んでリボーンの隣に座り込むツナ。
「入れよ、こっち」
肩から毛布を羽織って、片方をリボーンに掛けようとする。
「ほっとけ。たまには一人でひっそりと飲みたい時もあるんだ」
「…って、Σあぁあ!お前ぇ、赤ん坊のくせに酒飲むなよな!!」
「うるせーな、これは水だ。構うな」
(絶対嘘だ━━ッ!!レオン、目が虚ろだもん!)
帽子のツバで半分目が閉じてウトウトしているレオン。
(な、何か笑っちゃう)
クスクス
そんなツナにリボーンは目を細める。
「…じゃあオレも」
何て手を伸ばしたら、パチン!と叩かれた。痛てててて!?
「む!なにすんだよ!狡いぞ!」
「ガキにはまだ早ぇーだろ?」
「が、ガキ…ιお前なんて赤ん坊のくせに!!それに水って言ったじゃん!」
「ほう、俺様に意見を言うとはな。偉くなったもんだな」
耳をギリギリと引っ張る。
「痛い!痛いって!! リボーン!!」
「ふん」
パッと離して。
(『赤ん坊』のくせに、か)
空を見上げれば、薄い雲が風に流されている。時は流れる。人は大人になる。だが呪われた俺の身体は…
(成長しているのかいないのか)
視線を落とす。
(小さな手のひら、自分で選んだ事だ。悔いちゃいねぇ…だが)
フワリ、肩に暖かさを感じて
「…いらねーっつったろが、ダメツナ」
「いーから、誕生日に風邪引いたら馬鹿みたいじゃん」
いつの間にか時計は12時を回り、星は瞬いて祝福の歌を奏でる。
「誕生日おめでとう、リボーン」
えへー//って笑顔で告げるツナ。
「…その為に起きてたのか?」
「だって、明るくなれば皆お祝いにやってくるじゃん。一番最初に、オレがおめでとうを言いたかったし…っ」
寒さのせいじゃなく、照れたせいで頬を朱く染めて。
「…おめでとう、リボーン。お前が来てからオレの人生はハチャメチャになっちゃったけど、それでもお前のおかげで、たくさんの大切な仲間たちに会えた」
言葉と共に、毛布にくるまれた暖かい体温が伝わる。
(ありがとう、ありがとう、大好きだよ)
「中でも一番感謝してる。ありがとう? オレの傍に来てくれて。そしてこれからもよろしくな? 先生」
「…阿呆ぅ」
なんちゃってね〜//あははは、なんてジャレながら。
(何で、こんなやつがいるんだろうな)
トクン、トクン。心臓の音が伝わる。
心臓の音が心地よくて、だんだん瞼が降りてくる。
(鼓動で眠くなるって…胎児か…?)
新しく生まれ変わる。
「…お前は明日だな」
「うん、そう。何か不思議だね。オレ自分の誕生日と1日違いのヤツに会ったの初めて!なんかさ、う、う、運命って感じない//?」
毛布の端を握りしめながら赤くなって、ねぇ?って見おろしたら小さな身体がコテっと倒れてきた。
「Σリ、リ、リボーン///!??」
「……眠みー…ぞ」
スピー、っと鼻提灯が浮かぶ。
(Σがーっ!!もぉ!目ぇ開けたまま寝るなよな━…ι)
うん、でも…
(寒い夜も、二人でいれば寒くないよね)
ツナも空を見上げた。
━━━
お誕生日おめでとうございます!二人の信頼関係が大好きだよ♪