短編小説A

□『天使も夢見る』
1ページ/2ページ


長編
『地上に降りた天使は』
 おまけ♪











(や…っ!な、んで!?)
背中に口付けられて綱吉はピクンと跳ねた。

「ご、ごごごご獄寺くんっ、な、何してるの!?」
なんか唇が、背骨の上を下に降りて行ってるんですけど!

腕を掴まれたまま動けない。
(━…ってかΣ舌━━ッ!?)
「…あ…っ!?」
濡れた感触に、意思に反して甘い声が漏れる。
(何これ、オレの声!?)

「…10代目、恋人のふりって、まだ有効っスか?」
ちゅ、と、舌を這わせたまま、上目遣いに囁く獄寺と肩越しに目があって、綱吉は震えた。

(な、なんでそんな目でみるの? そんな…熱っぽい…)

怖いよ、なんか。

「ふ…りは、終わりだよ。お父さん、説得したんだから…っ!離してっ、背中!」
ギュっとベッドの上で拳を握って、視線を逸らすように前を向いた、その時。

「ぅわ…っ!!」

トサッ、身を反転させて獄寺がツナを押し倒した。半身衣服が脱げた状態で、長い髪をベッドに散らせて、両腕を頭の横に固定されてしまう。

「ご…くでらくん…?」
唾をコクリと飲んで、ツナは自分を押し倒した相手を見上げた。

「離せないっス…10代目」

「な、んで?」

「『ふり』が、終わりなら、もう終わりだと言うなら…俺の告白、聞いて下さいませんか」

「告白…? なにを?」
(変だ、よ…オレ)
絡めた視線に耐えられなくて、ふと横を向く綱吉に、耳元ギリギリまで距離を近づけて獄寺が囁く。

「…俺の『好きな人』。俺は、あなたが好きなんです」

(━…ッ!!)
「…え…ぇ!?」

「あなたが、好きです、好きです、好き…です」
告白してるうちに、たまらないと言うように獄寺の唇が耳朶に触れた。

(Σうわ…っ//)
「すすす好きって?あの!?? オレ達男同士で…っ!?」
ジタバタもがくが、手が固定されてるから抵抗は無力に等しい。
(狡いよ獄寺くん!この体格差!)

「もちろん、友達の好きじゃなくて」
掴んでいた手がスッと離れて下へと身体のラインをなぞる。

「…こーゆー事、したい意味で、好きで、好きで、…たまんなくて」
首筋、鎖骨、胸元、一つ一つ落とされるキス。
銀灰の髪がサラリと肌をくすぐりこそばゆい。

「ん…っ!や、めて獄寺くん!」
その一つ一つに反応するように、ビクン、ビクンと小さく身を捩るツナ。

「今日も貴方は、また俺をその魅力で虜にして…、いつも思い知らされる、かなわねぇって。
俺はもう、あなたに捕まって、眺めてるだけでは満足出来なくて…触れたく、て」
大きなゴツい手がスカートの裾から忍び込んで、確かめるように細い足をなぞる。

「ひぁ…っ!止め…!」

「…したら、今日同じ部屋で泊まる事になっちまって」
唇が胸元に下がり、直前で止まる。

「我慢してる俺に、服をぬがせろなんて…そんなの…ッ!」

拷問です…!

(触れて、感じて…その声を聞きたくて…っ)

「い、いや!オレはそんなつもりじゃなくて、獄寺くんは友達だから…っ!あ!や、やだ!?」
指で太股の内側を触ると、綱吉は抵抗して脚にグっと力を入れる。

「…10代目は、先ほどエレベーターの中で、俺を拒みませんでしたよね?」
すると、動きを止めて獄寺はツナの顔を見た。
逃がさない、というように。

「━…あ、あれは…っ!」
カァア、っとなるツナ。

「何でですか? 俺は、キスを拒まれるようなら止めようとしてました」

「…!そんな、のっ」
(後からなんとでも言えるくせに…っ)
身を捩る。

「…何で、ですか? 何で、目を閉じようとしたんですか? 俺と、キスしても良かったからですか?」

「…ッ、そ…っ!」

スカートの中から抜け出した手が、ギュウっと全身を抱き締める。

(あ…)

その腕の強さに惑わされて綱吉は身体が熱くなるのを感じた。
(あぁ…なんで?熱いよ、身体…何か、溺れそう…)
「…苦しい よ」

「…親父に言った事は本当っス。俺が、一生掛けて尽くしたいのも、側に居たいのも、守りたいのも貴方だけ、貴方だけだ」
そっと顔をあげる。

「無理強いは、したくねぇ。けど、もぉ、我慢ができねぇ。だから、せめて10代目。答えてくれませんか? 先ほど、俺とキスしてもいいと思ったんスか?」

「……そんなの」


「それだけ教えて下さい。なんも…しませんから。俺と、キスしてもいいと…」

(答えて)



 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ