短編小説A
□ハロウィンSS
1ページ/2ページ
(…騒がしい)
雲雀は溜め息を吐いた。
† † †
10月31日。
どこもかしこも浮かれている。
草食動物の群れどもが、どことなくハイになって紫色のオーラをあちこちに出しているのが、見てとれて不愉快だ。苛々する。
と言うのも、最近盛り上がりつつあるハロウィンという行事に、並中も乗っかろうと全校主催の仮装登校がこの度行われたせいで。
「ぎゃー!取んなよ!」
「可愛い!ちょっと着させて」
「なんだよダッセー!」
だの。
仮装で学校まで来るわけにもいかず、皆着替えを持って学校の更衣室で着替えるのだが、あちこちで喧騒が絶えず、規律などどこかへ行ってしまったようだ。
(来年からは廃止だ)
行事だからと多目に見たが、こんなのはただの風紀の乱れだ。
外国かぶれもいい加減にして欲しい。節操のない。
(くだらない…端から咬み殺そうか)
苛々もMAXに達した時、とうとうプツンと頭のネジが切れた。くるりと身を翻し、雲雀は2━Aへ向かう。
あの子の顔でも見て癒されよう。
僕だって、年から年中トンファーを振り回してるだけじゃないからね。
カツン、と靴音を鳴らして二年の階へ行く。
途端、
「ひぃい!!やめてーっ!!」
という声と共に、草食動物の皮を被ってる可愛らしい獣がガラッとドアを開けて飛び出してきた。
「…沢田綱吉、何してるの、君」
突然の事に眼を見開く。
「ひひひヒバリさん…ッ」
「待ちなさい!沢田!、お待ち下さい10代目ぇ!、あははー」、そんな声が後ろから聞こえてきて慌ててバッと振り返る綱吉。
「━…おいで、こっち」
「え!? は!?」
僕はグイッと沢田の手を掴んで引っ張り出すと、階段の影に急いで身を隠した。