短編小説A

□大晦日SS
1ページ/1ページ



「あー!これ、懐かしい…っ」

年の瀬も暮れようというときに、沢田家の綱吉の部屋はまだ大掃除が続いていた。というのも、

もともと自身の部屋が片付いていた獄寺が手伝いに来てくれたのはいいのだが、思わぬチビたちとのバトルが始まったりビアンキの茶々入れがあったりで、思うように掃除が進まないどころか、返って物が散乱する有り様になったのだ。

「すいません10代目、返ってご迷惑を掛けてばかりで…ッ」
平身低頭する獄寺に、綱吉は「いーって、いーって」っと、にこやかに応対する。

(もともとかなり散らかってたし、掃除が間に合わない言い訳が出来たもん)
綱吉は心の中でペロッっと舌を出す。

「獄寺くんも年越しソバ食べて行ってね〜♪」
っと、階下から奈々の声。
賑やかな年越しに、奈々も嬉しそうだ。


「それより獄寺くん、見てよコレ」
綱吉は先程見つけた一枚の写真を出す。

「…君がイタリアからやって来て、割とすぐの頃の写真だよね」
リボーンが初ファミリーの記念に、と撮ったものだ。

(…この頃は、まさか獄寺くんとこんな風に付き合うようになるなんて、思いもしなかったなぁ…)
何だか感慨深い。
沁々と余韻に浸る綱吉。

「…ほんとっスね、懐かしいっス」
(こうしてみると、10代目はこの頃からお可愛らしい…考えてみればこの頃は、割とパッ//、パンツ一枚で走り回られたりしておられて…ッ///)

「Σぶ━━━ッ///」

「どどっ、どーしたの獄寺くん!!」

「…や…、何でもないっス…ι」
(ヤベーっ、ヤベーっ、妄想が…ッ!気付いたらこんな狭い部屋で二人きりっ!この状況はすっごく美味しいじゃねーか!?)
ゴクリと喉を鳴らす。

(チビたちや姉貴も台所に引っ込んでいる。
キ、キスくらい…っ)

考えてみれば10代目は割と身持ちが固いのか、付き合ってる今でも『そーゆー』雰囲気になることは滅多にない。

「そういえばこっちにもねぇ、」
なんて、可愛らしいお尻を向けて部屋の中をガサガサ漁っているのは無防備以外の何物でもなく。

(じゅ、10代目ぇ!!悩殺モンです…っ)
頭クラクラ、もはや理性の緒が切れて、ガバリ、獄寺は綱吉に襲いかかった。

「じゅー代目ぇッ!!」

「って、うわあっ///!??」
ドサッ、押し倒されて頭を打ち(痛ぁ!!)、視界が回ると共にキスされる。

「ご、獄でらく…んんっ///」
頭の痛みも忘れるくらい甘いキス。
(あ━…、気持ちいい、かも//)
なんて事はない。
綱吉も獄寺に飢えていたのだ。

『ゴ〜ン…』

遠くで除夜の鐘が鳴るのが聞こえてくる。

「…あ、除夜の鐘…」
熱い息遣いの合間に、耳を打つ。

(煩悩も、悦楽も、快楽も本能も…)

「…ん//」
恋人同士には関係ない。
とにかく『愛』が大事だよね。

「獄寺くん…」
「10代目…」

「「好…」」

「テメーら、何ちちくりあいやがってる

はた☆と一瞬の沈黙。

「Σリボーン━━ッ!??」
「リボーンさんッッ!?いつからそこにッ」

バッと離れる二人。

「最初からいたぞ。目に入っていなかったみてーだがな」
冷ややかで淡々としたリボーンの声。

(Σひいぃぃいッ!!除夜の鐘よりもリボーンの声の方が、よっぽど恐ろしい戒めだっ!!)
がーんっとなる綱吉。

「ま、あれだな」
ニンマリとして。

「来年も、楽しい修行が待ってるぞ、ってな」
リボーンの地獄のようなお告げに、綱吉と獄寺は二人して固まった。



 
━━━


今年一年間、ありがとうございました
来年もよろしくお願いしますo(^-^)o♪

 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ