短編小説A

□『ヒナは初めて見た物を親と認識するのです』
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「わぁ―…すごいですねディーノさん、お土産こんなに」
ツナは部屋中に所狭しと並べられた色とりどりのリボンや包装紙に包まれたたくさんの品々を見て驚嘆の溜め息をもらした。

「まぁな、大分ご無沙汰してたしな、お詫びの意味も兼ねてプレゼントだ」
狭いツナの部屋のベッドに座り長い足を優雅に組んでそう言うブロンドの青年は、ニカッと人懐こい笑みを見せる。

「ボスはあちこちの国へ行く度に、『これなんかツナに合いそうだなー』なんて買って行くんですぜ」
ディーノをボスと慕うロマーリオが、他の二人の黒服と目配せし細い目を楽しげに更に細めて言う。

「ばッ、バカ//!バラすんじゃねーよっ」
慌てた感じで返すディーノ。

「そ、そうですか…ι」
(…って、開けた包み、なんかひらひらフリルのドレスとか入ってたんですけど―??)
Σがーん…ッ!!

「甘やかすなよディーノ、大体俺の目の黒い内はツナはやらんぞ」
そのやり取りを見てリボーンがアイスを食べながら釘を差す。

「やるって…ι」
「なぁι」
二人の弟子は困ったように顔を見合わせた。


(…和やかだぜ)
いっちゃなんだが、ロマーリオはこの二人が絡んでるのを見るのが大好きなのだ。
(次代ボンゴレボスの可愛い事といったら…、全くウチのボスの幼少期を思い出されてたまんねえったら)
ボンゴレボス10代目とキャバッローネボス10代目、この二人が組めば、次期イタリアンマフィアは安泰だ。
(楽しみだなぁ、へっ//)



「ほらツナ、これも食えよ。ベルギー産クーベルチュールチョコをふんだんに使ったチョコケーキ」

「ク? クーベ?? よく分かんないけど頂きます」

二人の間にはほのぼのとした空気。

(―…可愛いぜっ!)
頭にハテナを付けながらも丁寧に手を合わせて頂きますをするツナに、くぅっ!と拳を握るディーノ。

(マジで弟ってのはこんないーもんなのかな。俺の周りにはムサいオッサンな奴らばっかだったしな)
ディーノは自分がこの可愛い後輩を思う気持ちが兄弟愛だと信じて止まない。
それが面白半分なリボーンによる刷り込みだと気付きもせずに。

「可愛いなーツナは//!いつまでもそのままでいろよ?」
思わずワシワシと柔らかい頭を撫でる。

「いつまでもって…ディーノさんι オレはいー加減でかくなりたいですι切実に」
パクッとケーキを食べるツナ。

(…ふーん?)
「まー、そうだな、そんだけ食べてどーして太んねえんだ?」
ディーノは素直に疑問に思ってツナの細い腰を両手でギュッ、と掴む。

「わ"――ッッ//!くすぐったい!」
ガシャーン!
「うぉ!?ケーキが!」
ボタタッ、
「Σうわー!?紅茶!?あっつ――!!」
「脱げ!脱がせボス!」
ドターッ!!
「遊んでるのー♪」
「Σリボーンー!??」


トントントントン、カチャ、

「10代目ーvV ホワイトデーのお返し持ってきましたー…Σがッ//!??」
勝手知ったる何とやら、で奈々に通された獄寺は、目の前の光景に顎を外した。



 
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