短編小説@
□『西行桜』
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(―眠みー…な…)
うららかな春の午後、退屈な古典の授業を受けながら獄寺はすでに意識を放棄しようとしていた。
大体、帰国子女にあたる彼にとって、古典など、(しかも俳句かよ!?)まったく興味も愛着もない。授業に出ていることが奇跡といえよう。
ふと後ろを見やると、既に意識を手離している山本の姿と、ぼんやりと窓の外を眺めている綱吉の姿が目に入る。
(10代目…?何を見ていらっしゃるんだろう…?)
視線の先をたどれば、窓の外には校庭を周回するように満開の桜。
(ああ、キレイだ…な…)
その白い横顔と桜の薄いピンクに、目を囚われる。
ふと…窓からひとひら、一片の花びらが。
誘われるように綱吉の襟元に滑り落ちた。
(━━ッ!!)
途端、甘い疼きが獄寺を襲う。
(ッ…古典なんてわかんねーけど、こーゆーのを言うんじゃねー、の…?)
黒板には一篇の句。
『 春風の
花を散らすと見る夢は
覚めても胸の
さわぐなりけり 』
━━━━━━━END
『願わくは花(ツナ)の下にて春死なん』のが良かったでしょうか(≧∇≦)
ありがとうございました♪