短編小説@
□『春の眠り』
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(…いい天気だなぁ)
退屈な午後の授業、お昼のあとも手伝って、なんだかクラスの雰囲気が気だるげに感じる。
すでに山本は寝てしまっていて、獄寺も撃沈しそうな感じ。
(あれ?獄寺くん、髪に花びら付いてる…?)
しかも二枚も!ついクスッと笑みが漏れる。
そういえば今朝ランボが、
「ランボさんはさくらんぼが食べたいんだもんね!」
と言っていたのを急に思い出した。
(…子供って、皆おんなじこと考えるのかなぁ)
━━おかあしゃん、おかあしゃん、桜、いっぱいね。あれ、しゃくらんぼの木?ツナね、大きくなったらしゃくらんぼの木になって、たくしゃん食べゆの━━
(…恥ずかしいこと思い出しちゃったじゃないか!ランボのバカ!)
校庭の桜の木を眺めながら一人ごちっていたら、
(…?視線?)
向き直って前を見ると、こちらを見ていた獄寺と目があった、ように思えたのだが、
(あれ?気付かなかったのかな?)
ふいに逸らされた視線。少し首筋が朱いようにも感じるけど。
━まぁいいや。外はこんなにいい天気だしうららかで━…。
(…春眠暁を覚えず)
ツナもまた夢の中。