短編小説@
□『捕縛』
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「━…イヤ…だっ」
(何で…どう、して、こんな━…)
「やめ、て、獄寺くん…っっ」
━…はぁ、吐息、甘くて。
(とまらない…10代目)
貴方が哭いても、ただ━…
『捕縛の時』
両手を制服のタイで縛られ左手で頭の上に固定されて、オレは今獄寺くんちのソファに深く沈んでいる。
「…は、ぁ…」
唇、貪られたまま、めくり上げたシャツの下から手を入れられて。
「っや…」
オレの肌をまさぐる手、荒れてゴツゴツした━…
「…やだ、もう、離、して」
「━…嫌、じゃないでしょう…?気持ち、いいんじゃないスか…?」
顔が熱くなる…。熱、上がるのがわかる。身体は指の動きに反応して小さく跳ねて…
(変になる…ッッ!!)
だって変だよこんなの、さっきまでオレたち普通に宿題なんてやってて、笑ってて。
「獄寺くんは、好きな子いるの?」
って、クラスの子が聞け聞けってゆーから、
何とはなしに言ってみただけ、
(なのに━…)
獄寺くんは傷ついた顔、して、
━━オレを縛ったんだ…
◇ ◇ ◇
(貴方は残酷なヒトですね…)
脆くも瓦解した、心。抑えていた気持ちが溢れだして止めることが出来ない…っっ!
何が何だかわからない顔をしている10代目のタイをシュルっと外して、そのまま貴方に体重をかけて、ソファに沈めた。抵抗する両手を縛りあげ華奢な身体を初めて組敷いて上から見た貴方は、…怯えた表情で俺を見上げて、
「獄、寺くん…?」
━…そんな、
その声も、瞳も、俺を煽るだけとも知らずに。
俺は覚悟を決めて10代目の唇に触れる━…。
その瞬間から、
《━…捕まったのは、俺。貴方に捕らえられて、あとはただ、堕ちて行くだけ━…》